慢性腸炎(クローン病・潰瘍性大腸炎)の原因と症状から治療方法を知ろう!

慢性腸炎(潰瘍性大腸炎)とは?

潰瘍性大腸炎の原因

本症の原因は不明である。大腸の粘膜に、びまん性に炎症をおこす疾患である。病因としては、自己免疫説・精神身体説・感染説・アレルギー説・自律神経障害説などの諸説があるが、いまだ明らかではない。直腸またはS状結腸に初発し上行性に大腸全体をおかす。膜面に多発性の潰瘍を生じ、浮腫や出血を伴う。

潰瘍性大腸炎の看護については、下記を参考にして下さい。

潰瘍性大腸炎の症状

粘血便(粘血膿便)を伴った慢性の下痢を主症状とする。症状の程度によって重症・中等症・軽症に分類される。また、病変の罹患部位によって直腸炎型・左型大腸炎型・全大腸炎型に分類される。全身的には、腹痛・発熱・体重減少・全身倦怠感・貧血などの症状を呈する。全身症状のないものは軽症、全身症状を伴い白血球数増加・赤血球沈降速度(赤沈・血沈)値の亢進のあるものを重症とし、その中間を中等症としている。また臨床経過から、再燃寛解型・慢性持続型・急性激症型・初回発作型に分類される。
劇症の場合は敗血症様の症状を伴い、出血・穿孔・中毒性巨大結腸症を合併して死の転帰をとる場合もある。腸管外の合併症としては、関節炎・虹彩炎・尿路結石症・口内炎・結節性紅斑などと多彩である。なお、欧米では本症は大腸がん発生の高危険群として問題視されたきた。一般に発症後10年以上を経過した全大腸炎型の症例では、大腸がんの発生頻度が高いことが明らかにされている。

潰瘍性大腸炎の症状に対する看護をcheck!!
腹痛に対する看護と観察項目や看護目標
食欲不振・体重減少に対する看護と観察項目や看護目標

潰瘍性大腸炎の重症度分類(1994年)

重症 中等症 軽症
1、排便回数 6回以上 重症と軽症の中間 4回以上
2、顕血便 (+++) 重症と軽症の中間 (+)~(ー)
3、発熱 37.5℃以上 重症と軽症の中間 なし
4、頻脈 90回/分以上 重症と軽症の中間 なし
5、貧血 Hb10g/dl以下 重症と軽症の中間 なし
6、赤沈 30nm/時以上 重症と軽症の中間 正常

重症:1および2のほかに、3または4のいずれかを満たし、かつ6項目中4項目以上を満たすもの

軽症:6項目すべてを満たすもの
(厚生省特定疾患難治性炎症性腸管障害調査研究班、1994)

潰瘍性大腸炎の臨床経過による分類

再燃寛解型 再燃と寛解を繰り返す。
慢性持続型 発症より6か月以上、下痢や血便が慢性的に続いている。
急性激症型 激烈な症状で発症し、重篤な合併症が生じている。
初回発作型 発作が一回のみで、それ以降は症状が落ち着いている。

潰瘍性大腸炎の診断

臨床経過およびX線検査・直腸鏡検査・大腸内視鏡検査などによって診断する。注腸造影検査では、粘膜表面の変化・多発性のびらん・潰瘍・偽ポリポーシス・鉛管状の変化をみとめる。※偽ポリポーシスとは、潰瘍が広範に存在するため、正常粘膜がポリープ状に隆起した状態をいう。
内視鏡の生検では、粘膜の炎症反応・びらん・潰瘍・陰窩膿瘍を証明する。しかし、重篤で進行の速いタイプの潰瘍性大腸炎に対しては不用意に注腸造影検査や内視鏡検査を行うとさらに病状が悪化したり、穿孔をきたす場合があるので検査の適応には注意をはらう必要がある。
鑑別疾患は他の炎症性腸疾患であり、検便や糞便の細菌学的検査によって感染性腸炎などを否定しておく必要がある。鑑別診断上、最も重要な疾患は、クローン病である。

潰瘍性大腸炎の治療

まず内科的治療を行い、治癒しない場合には外科的治療の適応となる。食事療法として残渣の少ない栄養豊富な食事を摂取させる。炎症が高度な場合には禁食とし、水・電解質、血漿製剤などの輸液療法を行う。薬物療法としては、抗生物質の内服や静脈内注射、ステロイド薬の内服・静 脈内注射・注腸、またサラゾスルファピリジン(サラゾピリン)の内服を行う。サラゾスルファピリジンにアレルギーのある患者に対しては、5-ASA(ペンタ サ・アサコール)を用いる。また重症例では、顆粒球除去療法が行われる。

潰瘍性大腸炎の手術適応

1. 緊急手術
全身状態の悪化、大出血、穿孔、中毒性巨大結腸症2. 準緊急手術
内科的治療が無効3. 待期手術
慢性持続型、全大腸炎型、狭窄などの合併症、がんの合併

内科的治療が奏効しない場合には、時機を逸することなく手術を行うことが必要である。緊急手術の場合には結腸全摘+粘液瘻造設術、全身状態が不良な場合には回腸瘻・結腸瘻造設術が選択される。待期手術の場合には結腸全摘+回腸直腸吻合術(IRA)、結腸全摘+直腸粘膜抜去+回腸嚢肛門吻合術(IAA)、大腸全摘+回腸瘻造設術などが行われる。最近では、結腸全摘+直腸粘膜抜去+回腸肛門吻合術が主流となっている。原病がよくコントロールされている場合には、腹腔鏡下手術で施行される機会も増加している。吻合は直腸粘膜を完全に抜去する方法と、一部の上皮を残す方法とがあるが、直腸の貯留能がなくなるため回腸養を作製する。形状としてはJ型養が一般的であるが、ほかにS型嚢・W型震などもある。

 

慢性腸炎(クローン病)について

慢性腸炎(クローン病)の看護については、下記を参考にして下さい。

クローン病の原因

原因不明の慢性非特異性炎症性疾患である。感染や自己免疫異常などが指摘されている。若年者に好発する。

クローン病の症状

腹痛と下痢を主症状とするが、栄養障害・体重減少・貧血・低タンパク血症などを伴う場合もある。なお、潰瘍性大腸炎と同様の腸管外症状を呈することもある。また、痔瘻を初発症状とする場合や、狭窄症状や穿孔による膿瘍形成がある場合もあるため注意が必要である。さらに腹部腫瘤が主訴となる場合もある。

クローン病の症状に対する看護をcheck!!
腹痛に対する看護と観察項目や看護目標
下痢に対する看護と観察項目や看護目標
食欲不振・体重減少に対する看護と観察項目や看護目標

クローン病の診断

潰瘍性大腸炎とは異なり、口から肛門部までのすべての部位がおかされる。初期には回盲部に好発する。病巣は飛び石状病変として分節状にあらわれる。炎症は全層性であるのが特徴で、非乾酪性肉芽腫を特徴とする。造影X線検査や内視鏡検査では、縦走潰瘍・敷石状変化・裂溝・瘻孔形成などがみられる。鑑別すべき疾患としては、潰瘍性大腸炎・腸結核症・虚血性腸炎・放射線性腸炎などがあげられる。

クローン病の治療

基本的には保存療法が行われる。ステロイド薬・免疫抑制薬などが用いられる場合が多い。また、インフリキシマブ(レミケード)には高い効果があることが確認されている。食事療法としては、成分栄養療法が行われる。狭窄や穿孔をきたした場合には、手術療法が選択される。また、腸管の部分切除や狭窄解除を目的とした狭窄形成術も行われる。再発率が高いため低侵襲の手術を行うべきである。痔ろうに対しては、原病がコントロールされていないと完全な治癒は得られにくいため排膿のためのドレナージ術(シートン 法)が有効である。

腸結核症について

腸結核症の原因

結核菌によっておこる。以前は肺結核症の末期合併症としてあらわれ、予後は不良とされていた。抗結核薬の開発によって肺結核症は減少したが、肺結核を伴わない腸結核症が問題となっている。なお、好発部位は回盲部である。

腸結核症の症状

腹痛・下痢・便通異常が主症状である。また、結核に伴う発熱・食欲不振・るい痩をみとめる。なお、狭窄症状や腫瘤形成があらわれる場合もある。

腸結核症の診断

肺結核の診断がついている場合は、前述の症状から腸結核と推定される。ツベルクリン反応は陽性となる。また、検便によって結核菌を証明する。X線検査では壁の変形や地図状あるいは帯状潰瘍をみとめる。なお、注腸造影で回盲部の変形をみとめる場合も多い。他の感染性腸炎・クローン病・大腸がんなどが鑑別の対象になる。

腸結核症の治療

安静と抗結核薬の投与が原則である。なお、高度の狭窄があり抗結核薬の投与で改善しない症例は手術の対象になる。

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