急性膵炎に対する看護と観察項目や主な看護目標を知ろう!

急性膵炎患者の看護

膵臓は、糖質・脂質・タンパク質を分解・吸収する各種の消化酵素と、血糖調節を行うインスリン・グルカゴンなどの内分泌ホルモンを産生している。なんらかの原因で膵臓に障害が生じた場合は、消化・吸収、血糖調節の機能が乱れることになる。

重症の場合は、急性出血性炎症あるいは壊死・浮腫をきたして約20~30%の確率で死亡することがある。軽症・中等症の膵炎であっても短期間で変化するため、綿密な観察が必要とされる。
膵臓の自己消化を防止する防御機能が破綻すると、自己消化がおこり炎症性物質による膵臓周辺へ影響を及ぼす。影響は周辺組織への体液移動、血栓などを生じ、その結果として体液バランスの乱れや播種性血管内凝固(DIC)など全身への悪影響をきたす。
看護は患者の循環動態を維持し、疼痛緩和をはかりながら膵臓を安静にさせ、二次感染を予防していくことが重要である

急性膵炎の詳しい疾患理解については、下記を参考にして下さい。

急性膵炎のアセスメント視点と観察項目

  • 疼痛の有無と程度:部位・強さ・出現時期・持続時間、放散痛・心窩部の圧痛
  • 全身状態:経時的なバイタルサイン・水分出納バランス(輸液量・尿量など)・意識状態、ショック症状時(体温低下、頻脈・脈拍の強さ、血圧低下、冷汗、顔面蒼白)
  • 疾患に伴う症状:吐きけ・嘔吐・腸蠕動音の減弱・腹水とそれに伴う腹部膨満感・発熱、臍周囲の斑状出血や側腹壁の皮下出血(重症化し腹腔内に血性滲出液が生じた場合)、黄疸とそれに伴う症状(総胆管結石の乳頭嵌頓の場合)
  • 検査データ:①血液検査:白血球数・ヘマトクリット・ヘモグロビン濃度・血小板数・プロトロンビン時間(PT)・血液尿素窒素(BUN)・クレアチニン・血清カル シウム・アミラーゼ・総タンパク質・血糖値・C反応性タンパク質、肝機能としてAST・ALT・LD、②尿検査:アミラーゼ・クレアチニン・尿糖、③血液ガス分析:pH・Pao₂ PacO₂・塩基過剰(BE)、④画像診断:超音波検査・T・MRI⑤患者の不安・苦痛の訴え、精神状態

急性膵炎の看護目標

  1. 疼痛が緩和され、苦痛が最小限に抑えられる。
  2. 異常を早期発見し、重症化させない。
  3. 再発をしない生活上の留意点を実施することができる。

急性膵炎の看護活動

疼痛の緩和

心窩部から左肩・左背部に放散する痛みがあり、多くは急激におこり激痛である。患者は苦痛のため軽転反側(何度も寝返りを打つこと)することが多い。安楽枕やパッドを使用したり、寝衣や寝具の圧迫を避けるような工夫をし、少しでも患者の安楽な体位が保持できるように援助するまた、ベッドからの転落防止やベッド上でけがをしないため、環境整備時にはベッド柵の確認や危険物を取り除くなどの安全確保の援助を行う。疼痛は循環動態や呼吸状態への影響があるため、薬物によって疼痛緩和を行う場合が多い。使用薬物の特徴を把握し、効果的に行われるようにする。

安静療法への援助

急性期には疼痛や発熱などが強く、体液バランスもくずれやすい状態にある。そのため、精神的にも身体的にも安静を保持することがむずかしくなる。患者の病態の変化や苦痛の程度を把握し、少しでも患者の不安や苦痛を軽減できるようはたらきかけることが必要とされる
また、急性期には膵臓の安静(膵液の分泌を抑える)を保つため禁食となる。胃液を吸引することで膵液の分泌を抑制することもあるため、水分出納バラン スには注意が必要である。禁食が長期にわたる場合は、栄養状態にも留意し口腔内からの二次感染を防止するように心がける。

異常の早期発見

急性期には循環動態の変動がおこりやすいため、 バイタルサインをはじめとする全身状態の観察が重要となるさらにショック症状・呼吸不全・腎不全・播腫性血管内凝固・感染など多様な病態の変化を念頭においての観察が必要である。

再発予防の生活

  • 禁酒:アルコールは、オッディ括約筋を収縮させるはたらきと膵液の分泌量を増加させるはたらきとがあり、膵炎を発症しやすい状態をつくるため禁酒を指導する。とくに自覚症状がなくなると飲酒を再開しやすいため、禁酒の必要性を十分に指導する
  • 食生活:規則正しい、バランスのとれた食事を心がけるように指導する。脂肪制限がある場合には、脂肪を多く含む動物性タンパク質にも留意し、3食にふり分けるよう食事内容の工夫を指導する。また、脂肪を制限する場合は、脂溶性ビタミンの不足にも注意する。食事摂取と疼痛の関連から食事摂取を控える場合もあるため、疾患と症状について丁寧に説明して不安を取り除くようにする。

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