胆道の手術前・手術後の看護と観察項目や主な看護目標を知ろう!

胆道の手術を受ける患者の看護

胆嚢摘出術は、胆石症胆管炎などで合併症を伴うもの、疼痛発作が頻発するもの、胆石が大きいものなどに適応される。まれに症状が悪化し、重症な合併症を引きおこすことがあるため、手術前の全身状態の把握に努めることも必要である。
最近では、腹腔鏡下胆嚢摘出術を行うことが多く、低侵襲のため軽症時に実施されることがある。総胆管や肝内胆管に結石がある場合には、総胆管切開が行われる。この場合は、Tチューブを総胆管に挿入して胆汁ドレナージを行うことがある。手術後は胆汁漏、胆嚢摘除後症候群などをおこすことがあり、全身状態の観察は重要となる。

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胆石発作時の看護と観察項目や主な看護目標を知ろう!

胆道の手術前の看護

患者が良好な状態で手術が受けられ、また術後合併症が予防できるように援助する。

胆道の手術前のアセスメント視点と観察項目

  • 手術に関する内容:①術式・手術時間、②ドレーンの挿入位置、ドレーンの種類、③麻酔の種類
  • 全身状態:バイタルサイン、水分出納バランス、感染症の有無、薬物アレルギーの有無
  • 疾患に伴う症状:①黄疸:黄染の状態、黄疸に随伴する症状、②腹痛・疼痛発作:部位、放散痛の有無と部位、③発熱:熱型発熱に随伴する症状、④消化器症状:吐きけ・嘔吐・食欲不振
  • 検査データ:①一般的な手術前の検査データ:呼吸機能検査、心電図検査、胸部X線検査、栄養状態(皮下脂肪・総タンパク質・アルブミン)、血球検査(赤血球数・ヘモグロビン濃度など)、血液生化学検査(腎機能、出血または凝固のしやすさの有無)、血液型検査、②疾患に関する検査データ:肝機能検査(血清ビリルビン・AST・ALT・ALP・LAP・y-GT・LD・CAE)、膵機能検査(アミラーゼ)
  • 食事摂取状況:量・内容・回数
  • 合併症の有無と程度:胆嚢炎や周辺臓器への炎症、血液培養検査、末梢循環不全の有無
  • 合併症に対しての処置の有無:減黄に対しての処置など
  • 手術に対する患者と家族の不安、手術前後の経過に対する理解、手術の受け入れ体制

胆道の手術前の主な看護目標

  1. 手術を受けることを理解し、心身ともに安定した状態でのぞむことができる。
  2. 手術に対する患者・家族の不安が緩和される。

胆道の手術前の看護活動

胆道の手術の場合は、閉塞性黄疸と胆管炎の有無・程度が手術後の回復に大きな影響を与えるので、黄疸や肝機能障害の有無を十分に観察することが大切である。また、病態が悪化することがあるため、全身状態を把握し異常の早期発見に努める閉塞性黄疸が著しい場合は、PTCDチューブが挿入されるので、チューブの管理が必要である。看護は「胆汁ドレナージを受ける患者の看護」に準じる。
手術前は、栄養状態を含む全身状態の把握を行う。食事摂取が可能なときは、脂肪を制限し、刺激物・香辛料・アルコール飲料の摂取は避けて疼痛発作をおこさないように注意する。また禁飲食の場合は、水分出納バランスを把握し、輸液管理をしっかりと行い手術に向けての体調管理に努める

胆道の手術後の看護

手術後は胆嚢の機能の喪失と手術侵襲から生じる合併症を予防し、異常の早期発見に努める。胆汁ドレナージ用のチューブや腹腔内ドレーンが挿入されている場合は、ドレーンの管理を行いドレーンの留置に関連する合併症を予防する。また、ドレーンからの排液の量・性状の観察によって回復状況の把握と胆汁漏などの異常の早期発見に努める。

胆道の手術後のアセスメント視点と観察項目

  • 手術に関する内容:①手術時間、麻酔時間、出血量、手術中の経過、②ドレーン挿入の有無と部位、③麻酔覚醒時の状態
  • 全身状態:バイタルサイン、意識状態、水分出納バランス(ドレーンからの排液量・創部からの出血量・尿量・補液量)、尿の性状
  • 手術創部の状態①:創部の出血量、色調・臭気、②疼痛
  • 疾患に伴う症状:①黄疸:黄染の状態、皮膚の痛痒感、倦怠感、尿の色調、②消化器症状:吐きけ・嘔吐・腹痛・下痢
  • ドレーン・チューブの管理:ドレーン・チューブの種類(C チューブ・Tチューブ・PTCDチューブなどや開放式か閉鎖式、サイフォン式か持続的吸引)、胆汁排出の状態(量・性状・流出状態)、固定状態(圧迫・屈曲・捻転)、挿入部の状態(胆汁の漏出・皮膚の状態)、サイフォン式の場合は排液バッグの位置
  • 検査データ:①肝機能検査、膵機能検査、腎機能検査、呼吸機能(血液ガス分析・Spo₂、胸部X線検査)、②栄養状態:総タンパク質・アルブミン、③胆汁うっ滞に関する血液データ:直接ビリルビン・コレステロール、④血液生化学検査(出血凝固機能)
  • 合併症の有無と程度:呼吸合併症(肺雑音の有無、呼吸音の減弱の有無、痰の喀出量・性状・咳嗽)、イレウス(腹部膨満感・腸蠕動音・排ガス・排便)、胆汁漏(ドレーン・チューブからの排液の性状)、腹膜炎症状(バイタルサインの低下、腹痛・腹部膨満・嘔吐・筋性防御)

胆道の手術後の主な看護目標

  1. 早期離床の促しとドレーン・チューブの適切な管理によって合併症を予防し、順調な回復へと導くことができる。
  2. 手術後の苦痛が最小限に抑えられる。
  3. 異常を早期に発見し、重症化を防ぐことができる。

胆道の手術後の看護活動

手術後はドレーン・チューブが挿入され、創部の回復促進とモニタリングが行える。ドレーン・チューブは、体動後のドレーン・チューブの整理整頓とドレーン・チューブの種類に応じた管理を行う。腹腔ドレーンの排液の観察では、排液の性状の変化が重要となる通常、血性から漿液性に変化するが、黄褐色の胆汁が流出している場合は、胆汁漏を疑いすみやかに医師に報告する。

ドレーン挿入部の皮膚への影響や胆汁性腹膜炎の症状も同時に観察するCチューブやPTCDチューブの場合は、排液の流出量と排便の性状、胆汁性腹膜炎の症状を観察する。
疼痛コントロールには、多くの場合は硬膜外カテーテルを使用した患者管理鎮痛法(PCA)が行われる。疼痛コントロールによって早期離床がはかられることから、呼吸器合併症やイレウスなどの全身麻酔下の手術に関連する合併症の予防に努める肝機能の異常と黄疸がみられる場合は、出血傾向に傾きやすいので腹腔内出血にも留意して観察する。最近では、手術後の食事を制限していないが、脂肪を控え目にし、消化・吸収をたすける咀嚼回数を増やし、時間をかけての摂取方法を指導する

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