脂質異常症の看護とアセスメントや観察項目、看護目標を知ろう!

脂質異常症患者の看護

わが国の動脈硬化疾患発症率は、近年著しく増加しており、脂質異常症が動脈硬化症、とくに冠状動脈硬化の危険因子であることはよく知られている。脂質異常症は、遺伝性も含めた代謝異常が原因となる家族性脂質異常症と、二次性脂質異常症に分類される。糖尿病や高血圧症と同様に自覚症状がほとんどみとめられず、検診などで判明し、治療に結びつく場合が多い。いずれにしても、治療の基本は食事療法や運動療法など、望ましい生活習慣の再構築を行っていくことである。
食事や運動療法で十分な治療効果が得られない場合や、動脈硬化の進展予防を目的として、薬物療法の併用が行われる。家族性高コレステ ロール血症の治療では、血漿交換療法が行われる場合がある。
これらの治療は確実に継続されていくことが必要である。すなわち、脂質異常症の改善においては、患者自身が疾病を理解し、自己管理を積極的に行っていけるように援助を行っていくことが重要である。

脂質異常症のアセスメント・観察項目

(1)血清脂質値の把握:LDLコレステロール・HDLコレステロール・総コレステロール・トリグリセリド
(2)脂質異常症合併症に関する検査所見:
  ⓵.身体組成(身長・体重・BMI)、
  ⓶.身体所見の有無(黄色腫・角膜輪など)
  ⓷.血液学的検査
(3)日常生活習慣:
  ⓵.食生活(脂質摂取量、くだものなどの糖質摂取量、エネルギー摂取量)
  ⓶.運動(運動の種類・回数・時間)
  ⓷.嗜好(喫煙習慣の無・程度、アルコール摂取量)
  ⓸.日常生活内容(日常生活の過こど)
  ⓹.精神的なストレス因子(仕事や家族との人間関係、役割)
(4)脂質異常症の理解と受けとめ方
(5)生活習慣の改善への意欲、取り組み方

脂質異常症の看護目標

看護目標の例
(1)脂質異常症の自己管理に向けて主体的に取り組む。
(2)適切な血清脂質値を維持する生活習慣を獲得する。
(3)脂質異常症による合併症を予防できる。

脂質異常症の看護活動の方法

食事療法への援助

血清脂質のコントロールに食事療法は不可欠であるが、食習慣の修正には大きな努力を要することが多い。患者の食習慣や日常生活をよく把握して、生活 を見据えた支援が重要である。「日本人の食事摂取基準(2010)」によれば、脂肪エネルギー比率は30歳以上の健常成人では20~25%が摂取基準とされる。動脈硬化を防ぐには、飽和脂肪酸の多い肉類などからの脂肪摂取を控えて、青魚などの多価不飽和脂肪酸の多い食品を積極的にとるように指導する。また食塩の過剰摂取は、血圧の上昇をきたし動脈硬化を進展させるため減塩も大切である。

動脈硬化性疾患予防の食事療法では、以下の内容が推奨されている。
(1)エネルギー摂取量と身体活動性を考慮し標準体重(身長(m)2×22 を維持する。
(2)栄養素成分の適正化
  ⓵.炭水化物のエネルギー比率を50~60%とし、食物繊維を増やす。
  ⓶.脂肪のエネルギー比率を20~25%、肉類の脂肪などに多く含まれる飽 和脂肪酸を4.5%以上7%未満とし、青魚などに含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸を増やす。コレステロール摂取量を200 mg/日未満とする。
  ⓷.食塩の摂取は、6g/日未満を目標にする。
  ⓸.アルコール摂取は 25 g/日以下に抑える。疾患や病状によっては別途指示を行う。

野菜や果物、未精製穀類、海藻類、大豆製品などの摂取を増やす。また、高LDLコレステロール血症では、脂肪含有量の多い肉類や乳類などを制限して食物繊維の摂取量を増やす。
高トリグリセライド血症の場合は、アルコールや糖質の制限を行い、青魚などのn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取を増やす。食事療法は脂質異常症治療で重要な位置を占める一方で、食事は生活上の楽しみであり重要な役割を占めている。食事療法の実施には、患者の嗜好や食習 慣を確認し、できるだけ生活に基づいた内容で修正を行っていくことが、高いQOLの維持につながっていく。

運動療法への援助

運動療法の継続は、HDLコレステロールの上昇、トリグリセリドの低下に効果的である。このような効果をもたらすには、週3回以上1回20~30分程 度の継続した運動を行うことが望ましいとされる。適切な運動は歩行・水泳などで、軽く汗ばむ程度の強度である。

薬物療法への援助

脂質異常症の治療の基本は生活習慣の改善であり、薬物療法と併用する場合にも、生活習慣の改善を継続するように指導を行う。薬物の治療効果を継続するには、確実な服薬行動が不可欠であり、服薬量などの自己管理についての理解を促し、確実な服薬を継続できるように指導を行っていくことが重要である。

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