慢性動脈性疾患の看護とアセスメントや観察項目、看護目標を知ろう!

慢性動脈性疾患患者の看護

動脈閉塞性疾患は、心房細動などに伴う血栓塞栓による急性動脈閉塞症と。動脈硬化や閉塞性血栓血管炎(バージャー病)による慢性閉塞性疾患に分類され るが、ここでは慢性動脈性疾患患者の看護について述べる。
四肢、とくに下肢の動脈閉塞性疾患のなかで、閉塞性動脈硬化症は著しく増加傾向にある。さらに、動脈硬化は全身の動脈に生じるため、冠状動脈疾患や脳血管疾患などの合併症を有する患者も多い。糖尿病では閉塞性動脈硬化症を発生する頻度は通常の4~7倍高く、外傷や感染から潰瘍や壊死にいたりやすい。また閉塞性血栓血管炎は青少年に多くみとめられ原因不明である。
慢性閉塞性病変は、腹部大動脈・腸骨動脈・大腿動脈に好発する。虚血症状としては、蒼白、冷感、チアノーゼ、指先の変色、しびれ、間欠性跛行、安静 時疼痛、壊死がみられる。

慢性動脈性疾患のアセスメントと観察項目

(1)動脈閉塞がある部位以下の脈拍、左右差および血圧:足背動脈、後脛骨動脈を触知して減弱や消失の有無を確認する。また、ドップラー法やオシロメトリック法等を用いて評価を行う。下肢血圧測定では、足関節血圧および足関節血圧・上腕血圧比(ABPI:正常は 1.0
~1.3)がよく使用されている。
(2)自覚的症状:しびれ感、疼痛(安静時、あるいは歩行時頭痛)、フォンタン分類(下記に表がある)
(3)他覚的症状:間欠性跛行、皮膚の色、皮膚温、皮膚の光沢や損傷、関節、爪の変形
(4)検査所見:血圧(下肢と上肢の血圧の比)、超音波検査、MRI、サーモグラフィ、動脈造影所見、血清脂質(トリグリセリド・総コレステロー)HDLコレステロール・LDLコレステロール)
(5)喫煙歴と喫煙の有無や状況

【フォンタン分類】
Ⅰ期
・冷感、しびれ
Ⅱ期
・間久性跛行
Ⅲ期
・安静時疼痛
Ⅳa期
・潰瘍
Ⅳb期
・壊死

慢性動脈性疾患の看護目標

(1)血行の改善と維持をはかる。
(2)血行障害に伴う皮膚・組織の損傷、壊死を防止する。

慢性動脈性疾患の看護活動と方法

食事によるコントロール

治療の基本は、高血圧症・脂質異常症・肥満などの基礎疾患のコントロールのための食事療法を遵守することである。摂取エネルギー・塩分・脂の制限や、適切な摂取量が維持されるように援助する。

血行の改善と維持

血行を改善し、さらに血行障害の原因となる喫煙を防ぐなどにより、改善された血行を維持するために、下記に注意して看護活動を行う。

  (1)血行状態の観察:
血行状態の確認には、四肢の疼痛の有無、皮膚の色、表面の硬度、知覚、冷感の有無について、健側と比較しながら中枢部から末梢にかけて注意深く触れてみる。さらに触診によって動脈の拍動の有無を確認する。
  (2)治療への援助:
慢性閉塞性動脈疾患の治療には、薬物療法として、血管拡張薬や、抗血小板薬、抗凝固薬、鎮痛薬などが、経口や静脈内注射により 用いられる。各薬物の効果を知り、出血傾向などの副作用の有無、静脈内注射投与前後での症状や血行状態を確認する。
  (3)循環の促進:
寒冷刺激によって血管が収縮するため、とくに冬季は靴下や足袋・手袋の使用をすすめ、足浴などを行って、循環を保つように援助を行う。間欠的遊行例など可能な場合は、側副血行路を促す目的で医師の指 示により運動療法が適応となり、トレッドミルによる歩行などの監視型運動療法が推奨されている。
  (4)禁煙:
タバコに含まれるニコチンは、収縮期血圧上昇 血管れん縮、血流減少を引きおこし、また一酸化炭素は、血管内皮の透過性を高め、酸素結 合能を低下させ病態を悪化させるため、禁煙となる。必要な場合は、禁煙教育や指導を行い、禁煙を厳守できるように援助する。

疼痛の緩和

間欠性跛行や疼痛の増強をきたさない程度の歩行にとどめる。病状が進行すると安静時痛、とくに夜間に痛みが増す。座位や膝関節の屈曲によって軽減するため、疼痛が長期にわたると関節の拘縮を引きおこすこともあり、疼痛の緩 和は重要である。持続性の疼痛には、薬物療法が行われるが、痛みの程度や増強因子を把握し、適切な疼痛コントロールが行われるように援助する。

皮膚の保護

患肢の保護は、最も重要であり、潰瘍形成や壊死がなくとも、足のケアを毎日行う。皮膚は血行障害のために薄くなり、抵抗力も弱くなっているので、傷 つきやすい。爪はまっすぐに切るのが原則であり、爪の両端を切り込みすぎないようにし、足趾の形に整えるにはやすりを使用する。
足は洗って清潔を保つようにするが、皮膚が乾燥していることが多いため、洗ったあとに指趾の水分をふきとり、ローションなどを用いて乾燥を防ぐ。足を保護するために四季を通じて素足でいることは避け、靴下をはく。湯たんぽ やアンカは、低温熱傷の原因になるので使用は控えることが望ましい。靴も足に合ったものを選択する。
保温は血管を拡張させるが、あたためすぎると組織の代謝を高め、痛みが強くなることもあるので注意する。うおのめ(鶏眼)・たこ(肝眠)などに対しても、強い化学薬品や剃刀などを使用してはならない。

潰瘍部の治癒促進

潰瘍が形成された場合は、改善のためには十分な血流が必要である。病変部への荷重を避け、感染がある場合は、感染巣の拡大をまねかないよう留意していくことが必要である。
このような状態では、痛みも日夜続くようになり、そのために睡眠も妨げられる。また、精神的にも不安定な状態に陥っていることが多い。したがって患者の安楽を考え、心から患者の訴えを傾聴する態度で接し、鎮痛薬の投与や体位・環境の調整などによって苦痛の緩和に努めることが大切である。
また、脂質やエネルギー量、塩分などの食事制限を必要とする場合も多い。適切な食事摂取への援助を行い、潰瘍部の治癒を促進するために、良質なタンパク質やビタミンなどの摂取を心がける。

自己管理への支援

病状の進行、および合併症の予防には、食事療法や薬物療法の継続、四肢の組織の損傷を防ぐケアといった家庭での自己管理が重要である。自己管理は生涯にわたり、患者や家族が病状や治療の必要性について認識して、みずから進んで治療に参加できるよう援助していくことが大切である。

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