心筋症の看護とアセスメントや観察項目を知り、看護目標を考えよう!

心筋症患者の看護

心筋症の病型分類には、拡張型心筋症・肥大型心筋症のほか、わが国で例が少ない拘束型心筋症、その他、不整脈原性右室心筋症、分類不能のしがあげられる。
拡張型心筋症は、進行性の心室の拡張と収縮不全から慢性心不全をきたす疾患であり、その原因について、一部の症例についてはウイルス感染や遺伝的要因などが指摘されている。予後は不良であるが、近年は薬物療法の進歩やリハビリテーションの介入により生命予後の改善がはかられている。根治的治療法は心臓移植であり、比較的若年者で重症心不全や致死的不整脈合併症例が適応となる。わが国でも臓器の移植に関する法律の施行により心臓移植が行われているが、ドナー提供者など課題も多い。
肥大型心筋症は、心筋の異常な肥厚と、左室肥大による拡張期の障害が王で のり、左室からの流出路の狭窄を伴う場合もある。心筋の線維化が進んだ重症例を除くと、予後は拡張型心筋症に比べて比較的よく、病気の進行は緩徐である。しかし無症状で経過している場合もあり、突然死をきたすことがあるので 注意を要する。
看護師はこれらの心筋症の特徴をふまえてケアにつなげていくことが重要である。心不全や不整脈などの心機能の悪化や塞栓症を予防し、異常時には早期 に対応がなされるように援助していく。高いQOLを保ちながら残存機能に見合った日常生活が送れるように援助を行う。

心筋症のアセスメント・観察項目

(1)自覚症状の有無(失神発作の有無、息切れ、呼吸困難などの心不全症状動悸などの不整脈症状)
(2)他覚的所見:頸静脈の怒張、浮腫、バイタルサイン、中心静脈圧、循環動態モニタリング
(3)検査所見:
  ⓵.心エコー図(心室の拡大や収縮の状態、心肥大から診断に用いられる)
  ⓶.核医学検査
  ⓷.心電図・ホルター心電図(不整脈や心室頻拍などの突然死に結びつく異常の有無)
  ⓸.胸部X線検査
  ⓹.心臓カテーテル検査(虚血性心疾患との鑑別や、左室機能の評価のために行われる)
  ⓺.心筋生検
(4)水分出納量(尿量の測定、利尿薬測定時は反応の確認)、食事摂取量
(5)日常生活行動、食習慣、飲酒習慣、運動習慣、日常生活行動の内容、自立度、ストレス
(6)家族歴
(7)疾病や治療の受けとめ方、心理状態
(8)家族の治療に対する反応と理解、心理状態

心筋症の看護目標

(1)心筋症に伴う合併症(血栓や塞栓症)を予防し、異常の早期発見がなされる。
(2)心筋症に伴う心不全症状や不整脈の改善がなされる。
(3)疾病に対する不安を表出して、前向きに療養を行っていくことができる。

心筋症の看護活動と方法

全身状態の観察

心筋症に伴う症状は、息切れ・呼吸困難・浮腫などの心不全症状や、動悸、胸部不快感などの不整脈症状が主である。無症状のこともあるが、拡張型心筋症では、慢性心不全状態から急性増悪して、急激な呼吸困難や下肢の浮腫などの症状をきたすことがある。顔面や皮膚の状態、末梢の冷感(心原性ショックを疑う)、呼吸状態(呼吸困難の有無、痰の有無・性状、動脈血酸素飽和度)、循環状態(血圧・脈拍・循環動態モニタリング・水分出納量・時間尿・尿比重)心理状態について注意深く観察を行う。

苦痛の緩和

心不全症状を伴う患者では、呼吸困難などの症状があり、起座呼吸による苦痛や倦怠感も強い。日常での処置やケアは、患者の疲労度を考えて行う。食事のあとや、入浴・清拭などの清潔のケアを行ったのちは、少なくとも1時間は安静を保つ。安静は活動による代謝を軽減し、腎血流量の増加をはかり利尿を促す。また末梢への静脈血の貯留を防ぎ、心負荷を軽減させ、アルドステロンの分泌を抑える。周囲の環境を静粛に保ち、寝具を整え、小枕や体圧分散器具を用いて、限られた体位のなかでも安楽を保ち、安静に伴う褥瘡などの二次的障害を予防するように、体位を工夫していくことが必要である。

治療への援助

心筋症の治療は、主として心不全や不整脈への対症療法となる。おもな治療は薬物療法であり、ジギタリスなどの強心薬、利尿薬、ACE 阻害薬、B遮断薬、抗不整脈薬などが使用される。
利尿薬の使用では、その効果を判定するため、毎日の体重・尿量・水分摂取 量を測定する。体重は、一定時間に一定条件(通常は朝起床時の排尿後)で測定する。電解質異常や脱水症状の有無、血液検査値、尿量や尿比重に留意して観 察し、異常の早期発見に努める。また血栓症の発生が多くみられるため、抗凝 固療法が行われる。転倒や打撲に注意し、歯肉や皮膚、消化器 性器からの出血などの出血傾向の出現に注意する。

日常生活の再調整

感染症や褥瘡などの合併症を予防するためにも、患者の状態や気分のすぐれる時間帯を考慮して、清潔の保持(とくに口腔と陰部)が行われるように援助を行っていく。食事療法としては、塩分の制限と、水分の制限があげられる。水分の制限時には、食事の味つけが物足りなく感じて食事が進まないことが多いため、酸味や香辛料の使用、副食の1つを通常の味つけにしてその他を薄くする、減塩加工品を利用するなど、食事内容を工夫する。また水分制限がある場合は、出納量は食事摂取量を含めて制限内になるように指導する。症状が改善されれば、少しずつ日常生活行動を自立させていく。
心拍数の上昇や血圧を上昇させる動作、痛みやストレス・怒りなどの情動は、心仕事量を増加させる。食事や清潔の保持などの日常生活動作によりかかる負荷に留意する。急性期に負荷量を増やしていく場合は、各動作前後の拍数、自覚症状を確認しながら行っていく。

心理的援助

急性増悪時では、患者は自分の病状から生命の危機状態に陥ったと感じ、また家族のとまどいや不安は非常に大きい。看護師は、患者や家族が抱いている感情を言葉や表情から理解し、行われる処置や治療への不安や疑問を確認し、表出をはかる。治療に対する不安や疑問に対しては、わかりやすく繰り返して説明を行い、理解を促していく。

自己管理への援助

食事療法や薬物療法の継続、異常の早期発見などの自己管理を行い、継続的
な受診を促していくことが大切である。息切れや浮腫が出現したり、いままで できた日常生活行動に困難が生じたりした場合、また感冒様症状がある場合は、受診を行うよう指導する。身体の清潔を保ち、うがいや手洗いは確実に行い、感染症を予防する。また、突然死を回避するために、運動を行う場合は、準備 体操と整理体操を必ず行い、体調のわるいときの運動は避けるよう指導を行う。

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