脂質異常症の診断や症状を知り、治療の方法を学ぼう!

脂質異常症について

脂質異常症と心血管リスク
心血管イベントのリスクの予測には、フラミンガム研究のデータベースに基づいたスコアリングがある。これによれば、10 年間の冠状動脈リスクが20% 以上の場合は、冠状動脈疾患に罹患しているのと同等のリスクがあるとされる。

脂質異常症の診断

脂質異常症管理においては、どのリポタンパクが増加あるいは減少しているかによって分類したWHOの分類が有名である。
脂質異常症の患者の多くには原発性または遺伝的な背景が存在する。しかし、二次的脂質異常症もある。例えば、高トリグリセリド血症の場合は、ネフローゼ症候群と慢性腎不全を除外する必要がある。また、コレステロール値の異常時には、肝機能検査によって、肝炎や胆汁うっ滞を除外する。
血漿トリグリセリド値が 1000 mg/dlをこえている場合、カイロミクロン 血症であり、血液は乳び状のことがおおく、WHOの分類では、IまたはV型である。LDLコレステロール値が非常に高い場合、遺伝性のことが多い。常染色体優性遺伝である場合、家族性高コレステロール血症である。

脂質異常症の診断基準

わが国においては、2007年に日本動脈硬化学会が「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」を改正し、低HDLコレステロール血症をも含む新しい診断基準を発表した(下記の表に詳細あり)。この基準から、スクリーニングの基準としてLDLコレステロール値 140mg/dLを採用し、総コレステロール値を外した。

【脂質異常症のスクリーニングのための診断基準(空腹時採血)】
 LDLコレステロール
140 mg/dL以上:高LDLコレステロール血症
120~139mg/dL:境界域高LDLコレステロール血症**
 HDLコレステロール
40mg/dL未満:低HDLコレステロール血症
 トリグリセライド
150mg/dL以上:高トリグリセライド血症

(日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾憲予防ガイドライン、2012年版による)

脂質異常症の治療方法

動脈硬化の進行を遅らせ、粥腫を退行させるため、積極的に危険因子を除くようにする。それには、ライフスタイルの修正が必要である。冠状動脈疾患を有する者では、LDLを極力低下すべきであると言われている。ライフスタイ ルの変更には、食事、禁煙、および定期的な運動がある。さらに、それでも十 分な改善が得られないときには、脂質異常改善薬、また、抗血小板薬も有効であるとされている。

食事

飽和脂肪および炭水化物の摂取量を減らし、野菜や繊維摂取量を増やすこと
が推奨される。また、体重を維持するために、カロリー摂取量を制限するべきである。脂肪酸(リノール酸)およびw-3脂肪酸(エイコサペンタエン酸・ドコサヘキサエン酸)の比率が等しい多価不飽和脂肪6~10g、飽和脂肪酸2g以 下、残りが一価不飽和脂肪からなる1日20gほどに脂肪摂取量を制限する必 要がある。炭水化物の過剰摂取もトリグリセリドを上昇させるので、注意が必要である。

運動

適度な身体運動は、脂質異常症や動脈硬化の進展をある程度防止する。有酸素運動が有用だと言われている。

薬物治療

薬物治療を行うかどうかは、心血管リスク次第である。すなわち、2007年のガイドラインによれば、全員一律にLDLコレステロール値の管理目標を決めるのではなく、冠状動脈疾患や冠危険因子により患者カテゴリー分類を行っ たうえで、一次予防と二次予防の脂質値の目標が決められている。代表的な脂質異常改善薬として下記のものがある。

[1] スタチン(ブラバスタチン・アトルバスタチン・ピタバスタチンなど)
スタチン(ヒドロキシメチルグルタリルーコエンザイム ACHMG-CoA)還元酵 素阻害薬)はコレステロール合成経路の律速段階であるHMG-CoA 還元酵素 を阻害して血清コレステロールを低下させる作用を有する。

[2] フィフラート系薬剤(ベザフィブラートなど)
コレステロールも若干低 下させるが、おもにトリグリセリドを低下させる作用を有する。脂質代謝の土 要臓器である肝細胞中の核内受容体を活性化し、脂質代謝に関与する遺伝子の転写を調節により血清コレステロール低下作用、血清トリグリセリド低下作用および HDL-コレステロール増加作用を発揮すると考えられている。

[3] その他
エゼチミブ、プロブコール、レジン(陰イオン交換樹脂)、黒 ニコチン酸など

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