心筋梗塞(MI)の症状や検査を知り、治療・再発予防の方法を学ぼう!

心筋梗塞(MI)について

心筋梗塞の概念と分類

【概念】
冠状動脈硬化があり、狭くなった冠状動脈が粥腫(アテローム)の破綻により血栓を生じ、内腔が完全に閉塞すると、その動脈から先の血流が遮断される。このようなことが心筋におこると心筋は壊死をおこし、心筋細胞も破壊される。この状態が心筋梗塞である。心筋梗塞の急性期は、急性心筋梗塞(AM)とよばれる。

【部位別分類】
心筋壊死の部位および広がりによって、原因となった冠状動脈(責任動脈)と病型や重症度が異なるので、部位別に分類される。すなわち、閉塞の生ずる冠状動脈の灌流域によって、左室の前壁・前壁中隔・下壁(後壁)梗塞とよぶ。

【STEMとNSTEMI】
心表面を走る冠状動脈主分枝の完全閉塞によって、心内膜層から心外膜層まで心室壁に塊状の壊死が生ずる場合を貫壁性梗塞とよぶ。貫壁性梗塞は、病変部の心電図に典型的 ST上昇と異常Q波をみとめるため、ST上昇型心筋梗塞(STEMN)ともよばれ、一般的な AMI である。また、側副血行路のある場合や、細い冠状動脈の完全閉塞では、心内膜層を主病巣とする比較的小さな散在性の 壊死を生じ、これを心内膜下梗塞(非貫壁性梗塞)とよぶ。心内膜下梗塞は、心 電図上典型的な ST上昇をきたさない場合がある。これは非ST上昇型心筋梗 塞(NSTEMI)とよばれる(>図 5-8)。心筋梗塞は重篤な疾患であり、死亡率が30%と非常に高い。多くは発作直 後から 12時間以内に死亡するので、この死亡率を下げる目的で各地に冠状動 脈疾患の集中治療室であるCCU が設けられている。心筋梗塞による死亡は、その合併症によるものである。心筋梗塞による合併症のうち、死亡率を高めるものとして、心不全・ショック・重症不整脈(心室細動など)・心破裂があげられる。
また、閉塞部位によって重篤度が異なる。左冠状動脈主幹部にみられる閉塞 は、心筋傷害の広がりが、枝分かれした左前下行枝や左回旋枝の閉塞による心 筋傷害の広がりよりも広く、重篤である。
動脈硬化は一般に男性の疾患であり、心筋梗塞についても同様のことがいえる。しかし女性でも、更年期以降では罹患する確率が上昇する。動脈硬化をおこしやすい冠状動脈の部位は、血流により損傷されやすい動脈の分岐部、または鋭角に曲がっている部位である。これらの部位の動脈硬化がひどくなると、コレステロールが粥状化し、器質化して内腔を狭めると同時に、粥腫(アテローム)が破綻して血栓をつくると、完全閉塞をおこす。

心筋梗塞の症状

心筋梗塞の発作は、早朝から午前中に多い傾向にある。狭心症発作の経験を経て心筋梗塞をおこすことが多いが、なかには突然発作をおこすことがある。狭心症から心筋梗塞をおこしやすい徴候として、狭心症の発作の頻度・強さ・持続時間が増す場合、つまり不安定狭心症化があげられる。このような場合には入院治療が必要となる。
心筋梗塞は前胸部痛で始まる。胸骨中央部にえぐられるような痛み、重いものをのせられたような感じ、棒でかきむしられるような感じがあり、また左顎・左肩・腕・胃部に放散することもある。前胸部痛は、30分以上、数時間 にわたって持続する。
この胸痛は、通常ニトログリセリンを用いても軽快しないことが多い。高齢者や糖尿病患者では、痛みを感じない場合があるので注意を要する。多くの場合、死への絶望感、強い不安を伴う。しばしば血圧は低下し、顔面蒼白・冷汗がみられ、脈は触れにくく、ショック症状があらわれる。しばしば呼吸困難を訴え、肺には湿性ラ音が聞かれる。これらの循環動態不全を示す所見から、重症度を判定する基準としてキリップ分類が広く用いられている(下記の表に詳細あり)。発病後数日間は不整脈をみとめ、軽度の発熱がある。

【キリップ分類】
Ⅰ.
心不全の徴候なし
Ⅱ.
軽~中等度の心不全、肺ラ音聴取域く全肺野の 50%
Ⅲ.
肺水腫、肺ラ音聴取域と全肺野の 50%
Ⅳ.
心原性ショック、血圧<90 mmHg、尿量減少、冷たく湿った皮膚、チアノーゼ、意識障害

心筋梗塞の病態生理

心筋梗塞がおこると、梗塞による心筋細胞の壊死が心筋収縮能の低下を引きおこし、心拍出量の低下、左室の拡張終期圧の上昇をきたす。左房から左室へ の血液流入が障害されると、肺うっ血・低酸素血症をきたし、さらに心筋収縮
能を低下させる。また拡張終期圧が上昇すると、冠灌流圧・冠血流量も低下し、心筋虚血をさらに助長して心筋収縮能をさらに低下させる。
また、心筋梗塞により心筋収縮能・心拍出量が低下すると、血圧が低下し、冠灌流圧も低下する。血圧の低下がおこると、反射的に末梢血管収縮がおこる。心拍出量が低下すると、末梢血管の灌流圧が低下し、末梢組織での代謝障害が おこり、アシドーシスがおこる。心筋梗塞による虚血部位からは、心室性期外収縮が出やすい。これがR on T現象(「不整脈」のページ参照)をおこしたり、心室性頻拍をおこしたりしやすく、心室細動から心停止をおこす危険をもたらす。

心筋梗塞の検査

心筋梗塞の診断にあたっては、以下のような検査が行われる。
 [1] 心電図
梗塞部の誘導では、心電図の経時的変化が記録される。ST上昇型心筋梗塞(STEMI)では、発作直後に、T波の増高または ST低下から上昇をみとめる。ST、Tの変化は比較的すみやかに生じ、数時間から数日持続する。貫壁性壊死が成立すると、その範囲の誘導に異常QまたはQSがみられる。非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)ではQはあらわれず、STおよびTの変化も主として下降・陰転するが、まれにV~VがQSになり、あるいはR波が減高する場合がある。心電図にみられる変化でもう1つの重要な所見は、不整脈であり、あらゆる不整脈がみられる。
 [2] 心臓マーカー
発作後上昇するものに、逸脱酵素ノクレアチンキナーゼ(CK)とそのアイソザイムであるCK-MB・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)・乳酸脱水素酵素(LDH)・トロポニンTなどがある。トロホーンT、CK-MB、AST、LDH の順に上昇を示し、いずれも感度は高く検査は容易である。特異性は CK-MB が最も高い。
 [3] 心筋梗塞かどうかの鑑別のための迅速簡易検査
胸痛で来院した患者で、心電図変化がはっきりしないが胸痛が消失しない場合、そのまま患者を家に帰 すかどうか判断に迷う。このような場合、トロポニンT(cTnT)測定が最も便 利である。簡易測定キットならば、15分ほどで結果が出る。cInTは、急性心筋梗塞では発症後3.5時間で上昇し、発症後7~10日にわたって上昇が持続するため、発症早期の場合でも、数日たった心筋梗塞でも、診断で可能である。
 [4] 核医学的検査
心筋梗塞急性期にテクネチウム 99m-ピロリン酸(99mTcPIT)を用いたシンチグラフィにより、心筋梗塞の部位診断が可能である。
 [5] 心エコー図
心エコー図検査では、発作後数時間以内でも左室壁運動の低下がみとめられることが多く、梗塞部位の左室壁運動低下、収縮期増大の消 失、2~3日で非薄化が進み、大きな範囲の梗塞であれば、収縮期に外方に膨 隆する心室瘤の所見がみられる。発作数日後には、心膜炎による心嚢液貯留をみとめることがある。
 [6] カテーテル検査
重症の心筋梗塞で心不全の出現が予測されるときには、スワン-ガンツカテーテルを留置して、右心系カテーテル法により、心拍出 量・右房圧・右室圧・肺動脈圧・肺動脈楔入圧(左房圧)を測定する。心不全治療に、血行動態諸量を指標として治療することが可能である。心不全の状態把 握には、フォレスター分類がよく用いられる。
 [7] 冠状動脈造影検査(CAG)
近年、技術や器具の発達に伴い、緊急冠状動脈造影が盛んに行われるようになってきた。CAGを行うことによって、冠動脈のどの分枝が責任病変であるのか、1枝病変か多肢病変かを知ることにより、今後の治療計画を立てることができる。
一方、血栓溶解療法やプライマリーなどによる再灌流法が、急性心筋梗塞の早期治療として確立されており、CAG に引き続きPCIが行われることも多い。しかし、緊急カテーテル検査やプライマリーPCIでは、不整脈や血行動態の悪化などの急変がおこりやすいので、経験のあるスタッフと十分な準備が必要である。

心筋梗塞の合併症

不整脈

急性心筋梗塞の大部分にみとめられる。半数以上の症例で心室性期外収縮の頻発・連発がみられ、10~30%に心室頻拍または心室細動がおこるため、適切な治療が必要である。下壁梗塞では、洞停止・洞房ブロックおよび房室ブロックがしばしばみられ、ペースメーカー治療を必要とすることも多い。前壁梗塞では頻拍性不整脈が多い。発症から数日間は不整脈が頻発するが、徐々に出現しなくなる。心室性期外収縮の重症度分類には、ローン分類が用いられ、II群以上が治療の対象になる。

心不全

心不全はしばしばみられる。呼吸困難を伴ううっ血性心不全は、20~50%にみとめられる。心筋梗塞の大きさが左室心筋の40~50%を占めると、心不全・心原性ショックがおこりやすい。重症度の判定には、キリップ分類やフォレスター分類が有用である。下壁梗塞で右室梗塞を合併すると、肝腫大・浮腫
などの右心不全症状を合併する。

ショック

心筋梗塞の広がりが著しく、左室心筋の40~50%以上が壊死をおこすと、心原性ショックを合併する。また、心室中隔穿孔・急性僧帽弁逆流を伴った状態でおこりやすい。発生頻度は、急性心筋梗塞の 10~15%、死亡率は 60%以
上であり、予後不良である。

心膜炎

約20%の症例において、発作直後から1週間以内に心膜炎がみとめられるが、1週間以内によくなる。心エコー図や心膜摩擦音によって診断される。しかし、まれに心嚢液貯留が持続する例もある。
心破裂と乳頭筋不全

発作後2週間以内に梗塞部に亀裂を生じて破裂するもので、高齢者や高血圧合併症例に多い。破裂部位は左室自由壁・心室中隔・乳頭筋であり、自由壁破裂は心タンポナーデをおこし、致死的である。心室中隔穿孔は左→右短絡を乳頭筋断裂は僧帽弁逆流をおこし、心不全をおこす。

再梗塞と梗塞後狭心症

安定した急性心筋梗塞では狭心症は消失するが、再び狭心症が出現し、梗塞部の拡大ないし再梗塞を生ずることがある。梗塞後狭心症は急性心筋梗塞の30~60%に生じ、とくに NSTEMI に多い。発作時の心電図でST 低下を示す
ものは、予後がわるい。
心室瘤

心筋が梗塞によって壊死をきたし、心内膜・筋層にまで及ぶと心室瘤を形成し、心機能を阻害する。すなわち、収縮期に心室瘤の部分が拡張するという奇異運動をして、左室からの駆出量を低下させる。また心室性不整脈の原因となることが多い。

心筋梗塞の治療

急性心筋梗塞に対する治療
⓵.初期診療における治療方針の判断と一般療法
⓶.適応例に対する再灌流療法
⓷.合併症の治療
⓸.リハビリテーション
の4段階に分けられる。
囲み枠a

初期治療

心筋梗塞が疑われる患者に対する救急処置室での管理は、まず胸痛の緩和、そして再灌流療法の適応となるかどうかの判断である。その理由は、発作後6 時間以内であれば、再灌流療法が大きな効果を示すからである。したがって、病院到着からバルーン拡張までの経過時間が大切である。
急性心筋梗塞に対する初期治療として、以下の治療が行われる。

 [1] 安静・精神的・身体的安静と胸痛のコントロール
まず、ニトログリセリン 1~2錠の舌下投与、またはニトログリセリンの静脈内注射(静注)を試みる。静注の場合は血圧低下に注意する。しかし、胸痛がなおも続く場合には、モルヒネなどの麻薬性鎮痛薬を少量ずつ静注する。初日の絶対安静から漸次安静を解除し、リハビリテーションに移行していく。

 [2] アスピリンの投与
アスピリンは、STEMIのみならず、急性冠症候群すべての治療に有効である。まず、救急処置室の段階で 100 mg のアスピリンを内服させ、連日内服させる。

 [3] 酸素吸入
動脈血酸素分圧が70 mmHg 以下になると予後がわるいので、大部分の症例で酸素吸入を行う(2~4L/分)。しかしPao2、正常例では、酸素吸 入は必要としない。また、心不全で呼吸困難を訴える場合には、気管内挿管を考える。

 [4] アトロピンの投与
迷走神経緊張のため、吐きけ・冷汗・徐脈・血圧低下を伴うことも少なくない。麻薬性鎮痛薬を用いた場合にも、アトロピン 0.5 mg を静注し、軽快しなければ追加する。ただし、アトロピンによる頻拍に注意する。

 [5] 静脈確保
緊急処置のため静脈路を確保する。肘正中皮静脈、または鎖骨下静脈を用いて中心静脈カテーテルを挿入する。輸液量を正確に持続注入するために、自動輸液ポンプを用いる。輸液量は1日1000~1500mL程度とし、脱水やうっ血の程度を把握して調節する。血栓によるカテーテルの閉塞防止のため、少量のヘパリン(1000 単位/L)を加えておく。静脈確保にあたっては、必要な薬物について、状況に応じてそれぞれ量を調節できるように、専用の輸液路を確保するのがよい。

 [6] 心電図持続監視
不整脈とSTの変動を中心に監視し、変化に応じて迅速に対処する。搬送中も監視し、対処できるようにする。

 [7] 食事
発症24時間までは口の渇きをうるおす程度の、エネルギーの少な い流動物を少量のみとし、2日目から消化がよく刺激のない軟食を少量ずつ何回かに分けてとるようにさせ、徐々に増量して数日で常食とする。ただし、硬 塞の治癒を妨げないように、食塩制限・便秘予防を考え、タンパク質などで栄養を補い、エネルギーは 1500 kcal/日以下とする。脂質異常症・肥満・糖尿病などの合併症がある場合は、それぞれの治療食を用いて退院後への習慣づけ
を心がける。

再灌流療法

再灌流療法としては、血栓溶解療法(血栓溶解薬の静脈内または冠状動脈内投与)および、PCI、CABGがある。

 [1] 血栓溶解療法(線維素溶解療法)
血栓溶解薬を用いる場合、静注法(IVT)と経皮的冠状動脈内血栓溶解療法(PTCR)がある。薬物としては、ウロキナーゼ(UK)と組織型プラスミノゲンアクチベーター(t-PA)があり、UKよりもt-PAのほうが再開通率は高いが、t-PA では出血性合併 症も少なくないので、とくに高齢者には十分注意をはらう。発症後6時間以内に行う必要がある。
血栓溶解療法の禁忌は、絶対的禁忌として、
(1)活動性内臓出血
(2)発症2か月以内の脳血管障害
相対的禁忌として、
(1)10日以内の大手術・分娩・深部組織生検など、
(2)近年の消化管出血、大きな外傷
(3)コントロール不良の重症高血圧(200/120 mmHg 以上)などである。

 [2] PCI
PCI は、梗塞責任病変の狭窄部位を経皮的に挿入したバルーンカ テーテルまたは、ステントで拡張するもので、通常は血栓溶解療法を行わず直接 PTCA またはステント拡張術を行う。AMI に対する再灌流療法としては、PCIの方が線維素溶解療法よりも成績がよいので、設備や人員の整った病院ではCAGの直後(発症 12時間以内)に PCIを行うプライマリー PCが主流となってきた。

 [3] 冠状動脈バイパス術(CABG)
急性心筋梗塞症例に対して、緊急冠状動 脈バイパス術を施行する機会は昔ほどみられなくなったが、左冠状動脈主幹部病変例などの PCI が困難な症例に行われる場合がある。

心筋梗塞の合併症の治療

 [1]虚血心筋保護
心筋梗塞後の梗塞範囲の拡大を防止し、心筋障害を起的な状態にとどめておくための薬物による心筋保護法が注目され、治療に用いられている。心筋障害部位の心筋酸素需要を減少させるために、B遮断薬・硝酸薬などが用いられている。

 [2] 不整脈
洞性徐脈・Ⅱ度房室ブロックにはアトロピン静注、また心室性期外収縮(ローン分類のⅡ群以上)にはリドカインを静注し、持続点調 行う。発作性心房細動・粗動、発作性上室性頻拍には ATP・ジソピラミドの静注または電気的除細動を行う。心室細動・心室頻拍、薬物治療抵抗性の心房粗動や細動には、電気的除細動を行う。アトロピン禁忌の著明な洞徐脈・洞停止、Ⅱ度以上の房室ブロックなどでは、一時的心臓ペーシングを行う。とくに下壁梗塞に房室ブロックを呈する症例が多いが、このブロックは通常1~2週間で回復する場合がほとんどである。

 [3] 心不全・ショック
原則として、スワンガンツカテーテル・膀胱留置カ テーテルを挿入し、必要に応じて末梢動脈ラインを確保する。利尿薬(フロセミド)の静注が第一選択であるが、ジギタリス、血管拡張薬(ニトログリセリン・プラゾシン)、カテコールアミン(ドパミン・ドブタミン)を、血行動態所見(フォレスター分類)を参考にしながら使用する。心筋梗塞が広範囲に及び、心筋梗塞後の慢性期においても心機能が低下している症例には、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)が投与される。

 [4] 心膜炎・心筋梗塞後症候群
心膜炎や心筋梗塞後症候群(ドレスラー Dressler 症候群)には、インドメタシン 50~75mg/日、アスピリン1~1.5 g/日の投与、心筋梗塞後症候群の遷延性重症例では副腎皮質ステロイドの投与が行われる。

 [5] 心室瘤・乳頭筋断裂・心室中隔穿孔
心室瘤が心不全の原因、または重 症不整脈の焦点となっている場合は、心室瘤切除を行う。また、乳頭筋断裂に より僧帽弁閉鎖不全症(MR)をきたし、心不全を助長する場合は弁形成術または弁置換術を行う。また、心室中隔穿孔が循環不全の原因となっている場合は穿孔閉鎖手術を行う。

心筋梗塞のリハビリテーション

PCI による発症早期の再灌流療法が普及してきたことにより、梗塞の範囲を最小限にくいとめられるようになり、心不全や重症不整脈などの重篤な合併症 も減少してきた。その結果、早期離床・早期退院が趨勢となってきている。これに伴い、早期にリハビリテーションが行われるようになってきた。
特別な合併症がなければ、入院翌日からプログラムにそったリハビリテーションが開始される。発症後3~4日ほどは CCU での生活となるが、その後は一般病棟へ転床し、栄養士による栄養食事指導や、看護師による生活指導が 行われるとともに、病棟での廊下歩行を中心としたリハビリテーションが行われる。その後、退院が近づいたならば、リハビリテーション室での歩行やエルゴメータによるリハビリテーションに移行する。
運動負荷前後には心電図をとり、ST-T変化、不整脈の増加、胸痛発作、血圧低下などの変化のないことを確かめる必要がある。不整脈のある患者では、転棟後も無線による心電図監視が必要である。転棟後は、定量的運動負荷試験(トレッドミル・エルゴメータ)を行うことにより、退院後の運動処方を決める。社会復帰に備えて、精神的なリハビリテーションも重要である。退院後も、3 か月ほど外来通院リハビリを行うことがすすめられる。

心筋梗塞後の再発予防

再発予防に関しては、まず生活習慣の改善が重要である。喫煙していた者は禁煙すべきであるし、肥満の者は、標準体重を目標に減量する。また、精神的なストレスからも解放されることが望ましい。
このような生活習慣を改善したうえで、薬剤の内服へのアドヒアランスを高めることが必要である。再発予防効果のある薬剤はB遮断薬である。また。STEMI後の抗血小板薬(通常はアスピリン)の長期投与で、再梗塞・脳卒中・ 心血管死亡リスクが25%低下するといわれている。

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