血圧異常(高血圧)の看護や看護目標、生活指導について学ぼう!

血圧異常(高血圧)患者の看護

血圧異常には、高血圧と低血圧があげられる。成人における大きな健康問題は高血圧であり、発症には遺伝素因と環境素因が関与している。高血圧の判定基準は、血圧値により至適血圧・正常血圧・正常高値血圧・Ⅰ度高血圧・Ⅱ度高血圧・Ⅲ度高血圧(孤立性)・収集期高血圧に分類される。また、喫煙、糖尿病・脂質異常症・肥満・慢性腎臓病、高齢、若年発症の心血管病の家族歴などの血圧以外の危険因子や臓器障害、心血管病の有無により高血圧患者を低リスク、中等リスク、高リスクの3群に層別化されている(「血圧異常」を参照)。
高血圧の治療は、食事療法・運動療法・薬物療法が基本であり、生活習慣の修正により降圧効果がみとめられるだけではなく、降圧薬の作用を増強させるはたらきもある。また、高血圧のコントロールを行うことは、脳卒中や心臓病などの動脈硬化性疾患の予防につながる。

血圧異常のアセスメントと観察項目

(1)血圧値の測定・血圧は体位や情動、運動などさまざま因子によって影響を受ける。血圧計、あるいは水銀血圧計と同程度の精度を有する自動血圧計を用いて、15分以上安静ののち、カフの位置を心臓の高さに保って測定する。左右差、体位、1日の変動についても確認する。自由行動下の24時間連続(15~30分、1時間間隔)の測定方法も開発されており、24 時間連続血圧測定検査(ABPM)とよばれる。
(2)高血圧合併症に関する検査所見:⓵.身体組成(身長、体重、BMI)、⓶.心電図、⓷.眼底所見、腎機能検査(尿・血液検査)
(3)生活習慣で血圧を上昇させる誘因:⓵.食生活(塩分摂取量、脂質摂取量、エネルギー摂取量)、⓶.運動(種類・回数・時間)、⓷.嗜好(喫煙習慣の有無や程度、アルコール摂取量)、⓸.日常生活内容(入浴方法、冬季の日常生活の過ごし方など)、⓹.排便習慣、⓺.精神的なストレス因子(仕事や家族との人間関係、役割)
(4)高血圧症の理解と受けとめ方
(5)自己管理に向けた行動変容の階段
(6)自己管理への能力

血圧異常(高血圧)の看護目標

(1)高血圧症の自己管理に向けて主体的に取り組む。
(2)適切な血圧を維持する生活習慣を獲得する。
(3)高血圧症による合併症を予防できる。

血圧異常(高血圧)に対する看護方法

高血圧症患者の看護では、患者みずから生活習慣の修正を行う意識をもって、自己管理を行っていけるように教育をしていくことが重要である。
すでに習慣化している生活の修正には、大きな努力を要する。患者の興味の内容はなにか、間違った知識はないかをさぐり、学習の準備状態を十分に把握したうえで患者の日常生活内容にそって、繰り返し患者の理解を確認しながら進めていく。原則的な知識の理解を深め、さらに実際にどのような改善が実施可能かを、患者と話し合い、確認しながら指導を行っていくことが大切である。
生活習慣の改善以下にあげる項目について改善を促すように援助をしていく。

【生活習慣の改善項目】
[1] 食生活の改善
食事では、6g/日未満の塩分制限、野菜・果実の積極的摂取、脂質摂取(コレステロール、飽和脂肪酸の制限)、魚(魚油)の積極的摂取、肥満者においては適切な摂取エネルギーの量への指導が行われる。日本肥満子会では、標準体重(kg)を身長(m)×身長(m)×22 で算出することをすすめている)
[2] 適正体重の維持
肥満者は減量により降圧効果が得られる。標準体重のち10%以内の適正体重への減量、適正体重者ではこの範囲での維持を行う。重度の高血圧を除き運動療法と食事療法を両輪としてコントロールを行っていことが大切である。
[3] 禁煙
タバコは末梢血管を収縮させ、一過性の血圧上昇をきたす。こり に動脈硬化疾患の大きな危険因子であり、禁煙は必ず行うように指導する。禁煙が容易でない場合は、医師に相談して、適応があれば禁煙外来の受診やニコチンの代替方法などを考慮していく。
[4」アルコール制限
過度のアルコール摂取は、血圧を上昇させ、脳卒中や 動脈硬化性疾患の危険因子となる。エタノール換算で、男性では20~30mL/ 日(日本酒換算にて1合程度)、女性は 10~20 mL/日以下にするように指導する。
[5] 運動療法
軽症の高血圧症では、運動療法の実施により降圧効果が得られる。運動の種類としては、歩行や水泳などの全身の筋肉を使った有酸素運動 が適している。時間は 30 分以上で週3回以上行うのが望ましい。通勤時間を利用するなど、生活のなかに習慣化して運動を取り入れていけるように考慮して指導を行っていく。中等度以上の高血圧症や合併症を併発している場合では、医師の指示制限内での身体活動性を維持していくように援助する。
[6] 急激な温度変化
冬季の寒冷は血圧の変動をきたすため防寒に留意し、とくに夜間のトイレでは暖房を設置するなどにより、温度変化をできるだけ緩 和するようにする。入浴は40°C前後の熱すぎない温度で入浴し、長時間の入浴は避けるように指導する。
[7] 排泄のコントロール
排便時の努責は、一過性に血圧を上昇させるため、便通のコントロール、水分の補給や食物繊維の摂取を心がけるように指導する。また、排便の状態について確認を行い、必要に応じて緩下薬の投与を考慮する。
[8] ストレスの管理
精神的緊張や怒りは、血圧の上昇に影響を及ぼすことも考えられるため、適度な休養を生活の中に取り入れることを指導する。

降圧薬の投与と副作用

薬剤の投与については、その投薬効果と使用上の注意、ならびに禁忌について理解をすることが必須である。副作用は個人差があるため、患者の訴えを確認し全身状態の把握に努めることが大切である。自己管理中に副作用症状があらわれた場合は、自己判断で服薬中止するのではなく、必ず主治医に連絡をとり、コントロールを行うことを説明する。おもな降圧薬の副作用を下記の表に示す。

【降圧薬の副作用】
  カルシウム拮抗薬
:顔面紅潮、頭痛、動悸、上下肢の浮腫、便秘など
  ACE 阻害薬
:咳、腎動脈狭窄症での腎機能低下など
  アンギオテンシンI受容体拮抗薬
:めまい、動悸など
  β遮断薬
:気管支喘息の誘発、徐脈、房室ブロックなど
  α遮断薬
:立ちくらみ、めまいなど
  サイアザイド系利尿薬
:低カリウム血症、痛風、脂質異常症など
  カリウム保持性利尿薬
:勃起障害、月経異常など
  ループ利尿薬
:低カリウム血症、高尿酸血症、脂質異常症など

関連記事

  1. 労作性狭心症の症状や検査を知り、治療方法を学ぼう!

  2. 心臓リハビリテーションの目的と患者教育などの看護師の役割について

  3. 心臓カテーテル治療の看護方法や観察項目とアセスメント

  4. 慢性心不全の看護と観察項目・アセスメントや看護目標について学ぼう!

  5. 血行動態モニタリングを受ける患者の看護方法やアセスメントについて

  6. 血栓性静脈炎・静脈血栓症の看護とアセスメントや観察項目、看護目標を知ろう!

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。