循環器疾患で薬物治療を受ける患者の看護方法とアセスメント

薬物療法を受ける患者の看護

循環器疾患患者の薬物療法では、強心薬、利尿薬、抗血栓・抗凝固薬、降圧薬、血管拡張薬、抗不整脈薬などの薬剤が用いられる。また患者の状態に応じて、脂質異常症治療薬や糖尿病薬 抗生剤など、さまざまな薬剤が併用されている場合も多い。
看護師は、安全・確実に与薬がなされるように援助する。また、自己管理のために、患者自身が薬効や副作用を理解し、確実な服薬行動を前向きに取り組めるように援助していくことが大切である。

薬物療法を受ける患者のアセスメント

薬剤の基礎知識

看護師は、安全な薬剤の投与のために、使用する薬剤の基礎知識として、
⓵.作用
⓶.使用量(常用量)
⓷.最大使用量
⓸.投与方法
⓹.作用時間(作用持続時間)
⓺.副作用について、薬剤投与前に理解していなければならない。これらの薬剤に対する知識をふまえ、指示された投与量や投与方法についての確認を行う。

全身状態の把握

循環器疾患の薬物療法では、心筋虚血や不整脈出現時などの状態の急激な変化に対して、緊急的に用いられる薬剤も多い。また、強心薬や心血管拡張薬などでは一定濃度の持続的な静脈路からの投与が行われ、利尿薬では定時での連日、隔日投与が行われるなど、さまざまな投薬方法によって管理される。急性期では、心電図モニターや血行動態のモニタリング監視下にて与薬される場合が多い。看護師はこれらの変化とともに、患者の訴え、表情など全身をよく観察して、薬物療法の効果の把握と異常の早期発見に努めることが必要である。
循環器疾患の急性期では通常、自動輸液ポンプの使用による薬剤の投与や電解質補液・輸血など、患者の状態に応じてさまざまな輸液が行われている。看護師は、これらの投与速度や投与量などを、各輸液に応じて管理し、安全・確実な与薬が行われるように援助していくことが重要である。

輸液管理と心負荷への把握

循環器疾患患者においては、輸液管理は心負荷の増減につながり、治療上非常に重要である。心機能やその病態を理解して、使用する薬剤とその意義について把握する。前負荷の増大した場合は、補液や水分制限。利尿薬の使用、血管拡張薬による静脈拡張を促す治療が行われる。加えて心拍出量が著しく低下 した場合は、強心薬も使われる。また後負荷が増大している場合には、血管拡張薬を使用するなど、状態に応じた選択が行われる。

副作用の観察

薬物によっておこりうる副作用の有無を注意深く観察する。とくに静脈内注射による与薬はショックなどの急激な副作用をおこす危険性もあるため、与薬 時のバイタルサインの変化や患者の訴えに注意する。またとくに、抗凝固薬・ 血栓溶解薬を使用する場合は、出血傾向(歯肉出血・消化管出血・皮下出血・ 性器出血)がみとめられないかを、出血時間や凝固時間などの検査値の結果とともに注意深く観察する。消化管出血の有無を確認するためには、排泄物の色 について(タール便の有無)患者から聞く、あるいは視認を行う。また抗生剤の
使用時には、発疹などの皮膚症状や下痢などの腹部症状がみとめられないかについて、注意して観察を行う。

服薬状況や生活習慣の確認

薬物治療に用いられる薬剤は、ほかの薬剤や食物に含まれる物質との相互作用によって、その効果が減弱したり増幅したりすることがある。現在の服薬状況とともに、薬物療法に影響を及ぼす生活習慣があるかどうかについて確認を行う。とくに食物については、
⓵.ワルファリン(ワーファリン)服薬時には、納豆は拮抗作用があるので禁止する。
⓶.一部の降圧薬ではグレープフルーツの摂取により血中濃度が上昇するなど、薬効に影響を及ぼすものもある。
また自己管理を行う際には、食前薬や食間薬、食後薬というように、食事に関連しての自己管理方法をとることが多い。通常1日に何回、何時に食事をとっているのかを確認し、薬剤によっては患者に食事を目安とした服薬指導が適切かどうかを判断することが必要である。

服薬行動への援助

服薬行動を高めるように指導を行っていくには、患者の日常生活状況や生活習慣を確認して、その患者の生活状況に即したかたちで取り入れられるように指導していくことが必要である。患者が疾患や服薬の内容や方法、その必要性についてどのように理解をしているのかを確認する。実際に服薬を自己で行うにあたっての日常生活動作は確保されているのか、どのような方法であれば可能であるのかを判断する。とくに高齢者の場合は、本人が服薬の必要性は理解していても、薬量や種類が判別しにくいために誤薬したり、服薬を忘れたりする場合もあり、服薬状況について注意深く評価することが必要である。また、自己管理への意欲についても、患者や家族の訴えや表情から評価する。自己管 理に向けての知識面・技術面・情意面をとらえて、アセスメントを行う。

薬物療法を受ける患者の看護目標

(1)副作用の出現をもたらすことなく、安全・安楽に薬物療法が受けられる。
(2)薬物療法に伴う異常発生時には、早期に対応が受けられる。
(3)服薬の自己管理に前向きに取り組み、安全・確実に服薬することができる。

薬物療法を受ける患者の看護活動

確実な与薬の実施

看護師が患者に与薬を行うにあたっては、薬物が正しく確実に投与されるように頻回に確認を行う。使用する薬剤の作用、使用量(常用量)、最大使用量、投与方法、作用時間(作用持続時間)、副作用を把握する。医師の指示を受けるとき、薬物の準備をするとき、ベッドサイドに薬物を持っていくとき、与薬時の各時には、必ず薬剤名・投薬量・投薬方法・対象患者の確認を行う。薬物の準備時から与薬時までは、薬物・薬袋(薬液ボトル)と指示が合っているかを、毎回必ず確認する。また与薬時には、患者本人であることを必ず確認しなければならない。意識があり返答ができる患者では、必ず名前を呼んで本人であることを確認する。

異常の早期発見

循環器疾患の急性期の患者では、緊急時における薬剤の使用が多く、使用に伴う副作用を念頭において、自覚症状や全身状態の観察を注意深く行う。たとえば、硝酸薬を使用した場合では、一過性の血圧低下や冠状動脈血流量の低下により、脳虚血、頻脈や徐脈、動悸や期外収縮などの症状が出現する危険性がある。また抗凝固薬・血栓溶解薬を使用している場合は、出血傾向がみとめら れないか注意して全身の観察を行う。静脈路が確保されている場合は、穿刺部位の発赤や疼痛の有無を確認する。カルシウム拮抗薬の副作用では、頭痛・めまい・顔面紅潮・末梢冷感などがあり、患者の訴えに留意する。
輸液管理は心負荷の増減につながるために正確に行う。自動輸液ポンプが使用される場合も多く、ポンプの作動状態および、一定時間ごとに投与速度と実 際の投与量を確認する。またラインが正確に接続されているか、屈曲がないか。空気の混入がないかを確認する。薬液の投与開始時や薬液量の変更時には、バイタルサインや自覚症状、心電図の変化に注意する。

自己管理への支援

患者が自己管理を行っていく場合は、患者の治療に対する理解度や受けとめ方をふまえて、正しく自己管理が行えるように指導を行う。患者が誤った自己 判断で服薬を中止することがないように、服薬に際しての疑問点について表出 できるように促す。
また、服薬している薬剤名や注意点等を記載した手帳を活用するなど、与薬 の目的や方法、副作用の症状、異常時の対応について正しい理解を得て、積極的な服薬行動がとれるように援助をしていく。

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