動脈血ガス分析を受ける患者の看護方法やアセスメントについて

動脈血ガス分析を受ける患者の看護

動脈血ガス分析を受ける患者のアセスメント

動脈血ガス分析は、循環器疾患では病態の急性期 に行われる頻度が高く、また動脈からの採血であるため、患者の苦痛や合併症の出現に注意が必要な血液検査である。動脈血ガス分析により、呼吸の換気効 率と酸素化効率、体液の酸塩基平衡に関する情報が得られる。Pao2は酸素化 効率をあらわし、PaCO2は換気効率をあらわす。
動脈血ガス分析は、酸素化障害をきたす可能性が高い心不全の急性期以外にも、あらゆる病態のショック期や術前・術後を含めた手術時、心肺停止からの 蘇生術後、酸素療法・人工呼吸療法の設定変更時などにおいて、モニタリング を目的として行われる。また、腎不全や糖尿病などの腎・代謝性疾患を合併している場合、その病態の把握を目的に行うこともある。
なお、体内の組織の酸素化を評価するには動脈血ガス分析値で得られるPao2や Sao2だけでは不十分であり、酸素を運搬するヘモグロビン量 が十分であるのかを、同時に評価しなければならない。

動脈血ガス分析を受ける患者の看護活動

検査の準備

おもに橈骨動脈・上腕動脈・大腿動脈の穿刺によって、または ICU.CCUなどの集中治療部門などでは観血的動脈血圧モニターラインから、検体を採取する。橈骨動脈で穿刺する場合は、アレンのテストにより側副血行路を確認てから行うことが望ましい。
リラックスして息をこらえたりしないようにすることだけではなく、可能範囲で病態が安定した状況で検体が採取できるように調整、配慮する。
穿刺の際には、動脈のそばには末梢神経が存在しているので、神経損傷症状への注意・観察が必要である。動脈穿刺後、穿刺部位を約5分間圧迫し、止血を確認する。不十分であると、皮下血腫や仮性動脈瘤をつくることがある。
また、出血傾向のある患者は、止血不十分による再出血に細心の注意が必要である。吸入気酸素濃度や酸素投与方法、人工呼吸器の設定、体位、種々の呼吸療法によって動脈血ガス分析値は影響を受けるので、これらの条件を検査値とともに看護記録などに記述することが望ましい。

異常値の評価と症状のアセスメント

患者の呼吸状態の評価

(1)Pao2とSao2
酸素化の指標であるPao2とSao2)の関係は、S字の酸素解離曲線により示される。この曲線はいくつかの要因により左方右方移動する。また、動脈血ガス分析を行わなくても非侵襲的モニターであるパルスオキシメータにより酸素飽和度(SpO2)が得られるので、酸素解離曲線をもとに Pao2を推測することができる。
(2)PaCO2)
換気障害の指標であり、酸塩基平衡における呼吸性因子である。循環器疾患では、うっ血性心不全や術後、人工呼吸器離脱後の呼吸抑制な どで上昇がみられる。うっ血性心不全では過換気による低下をきたすときもある。また、気管挿管患者に対しては呼気モニターにより、呼気中の二酸化炭素濃度(ETCo2)を測定することができる。
(3)包括的判断の必要性
Pao2、Sao2、PacO2)の変化を総合して判断する必要がある。低酸素血症と高炭酸ガス血症が混合して存在することもある。

酸塩基平衡の不均衡の評価

酸塩基平衡は、pHとその代謝性因子の指標となるHCO3‐濃度、BE、呼吸不均衡の指標となるPaCO2により評価できる。種々の原因により不均衡をきたし、その不均衡はpH7.35以下でアシドーシス、pH7.45以上でアルカローシスとよばれる。
(1)循環器疾患で遭遇する酸塩基平衡の不均衡:
うっ血性心不全や心原性ショック、急性心筋梗塞などに伴う低心拍出量症状により、末梢組織の代 謝障害を引きおこし、代謝性アシドーシスに陥ることがある。これは、チアノーゼを示す心疾患や動脈閉塞性疾患でも同様である。また、慢性心不 全により高炭酸ガス血症を呈し、呼吸性アシドーシスをみとめる場合や、心疾患全般を通して、低心拍出量状態、組織低酸素症の代償性反応として頻呼吸となり、過呼吸症状を呈すると呼吸性アルカローシスをみとめることがある。呼吸器疾患を合併していたり、術後の呼吸抑制に伴い、高炭酸ガス血症をきたし、呼吸性アシドーシスを呈したりする場合がある。慢性心不全などに対して行われる利尿薬の投与に伴い、代謝性アルカローシスをみとめることもある。
(2)包括的判断の必要性:
アシドーシスやアルカローシスを呈する病態は、循環呼吸疾患の増悪に限らない。たとえば、嘔吐や術後に胃管から胃液が過 度に吸引・排出されると、代謝性アルカローシスを呈することがある。その他の血液検査とともに、臨床症状や治療効果の裏づけとして評価する。異常値によって引きおこされる臨床症状を把握し、早期に対処する。循環器疾患患者は、Pao2・Sao2)の低下、PacO2の上昇、酸塩基平衡の不均衡に伴い、不整脈の出現。それに伴う心拍出量の低下、呼吸状態の変化をきたしやすいの で、早急にその原因に関して対処する。

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