心不全による呼吸困難の種類と特徴

心不全による呼吸困難について

呼吸困難は、不快な努力を伴う呼吸の自覚である。「息苦しい」「息が切れる」「息がはずむ」などと表現される。
呼吸困難の原因には、心臓・肺・気道・胸郭の疾患による低酸素血症や低換気、貧血などの血液疾患、ならびに心因性の疾患がある。また、心疾患にみられる呼吸困難のほとんどは、左心不全による肺うっ血が原因である。肺疾患では、気管支喘息・肺気腫・肺梗塞・肺炎などで呼吸困難がおこる。
健常人でも、運動時には息切れを感じる。また、高齢者では軽い労作でも息切れをおぼえるようになる。それらの呼吸困難が生理的な範囲のものか病的なものかを判断することが重要であるが、呼吸困難の自覚は個人差がかなりある。同年代の人と階段を昇ると、自分だけ苦しくて遅れるなど、同じような年 齢の人が呼吸困難を感じない活動で、それを感じる場合は病的である可能性が高い。また、「いままで駅の階段では息切れがなかったが、途中で休まなければならなくなった」などの状態の変化も要注意である。
以下に心不全に伴う呼吸困難の状態を説明する

労作性呼吸困難

左心不全により肺静脈および肺毛細血管圧が上昇すると、肺の間質や肺胞に 血液中の水分の濾出がおこり、ガス交換が不十分となる。この患者が坂道を登 るなどの労作を行うと、全身の酸素需要は増すにもかかわらず肺毛細血管圧は さらに上昇するため、努力して呼吸してもガス交換が進まない。これらが呼吸 困難・息切れとして意識されることを労作性呼吸困難という。呼吸困難が軽い労作で出現するほど心不全は重症である。どの程度の労作 で呼吸困難が出現するかで心不全を4つの重症度に分類したものがニュー ヨーク心臓協会(NYHA)分類である。

起座呼吸

起座呼吸とは、仰臥位では息苦しくなり、座位また半座位で楽になる呼吸のしかたであり、重症の左心不全でみられる。仰臥位では、心臓と全身の上下関係が水平となり、全身の静脈血が心臓に還流しやすくなる。またそのとき肺毛細血管圧が上昇し、肺うっ血が増強する。さらに仰臥位では横隔膜が上がり、換気が不利となるため呼吸困難を自覚する。
座位になると、重力の影響で下半身の静脈血が心臓に還流しにくくなり脚うっ血が緩和される。また横隔膜が下がり胸郭運動がらくになる。こうして、心不全患者は臥位で呼吸困難を感じると自然と起き上がって座位をとるようになる。

発作性夜間呼吸困難

心不全患者では、就床後1~3時間で突然息苦しくなって目がさめ、起坐呼吸となることがある。これが発作性夜間呼吸困難であり、重症左室不全の重要な徴候である。就床後、臥位になるー 脈還流が増え、徐々に肺毛細血管圧が上昇するが、患者は眠ってい困難を自覚しづらい。そのため数時間たって肺うっ血が高度になっ 呼吸困難を自覚して覚醒する。
臥位になることにより静脈還流が増え、徐々に肺毛細血管圧が上昇するが、患者は眠っているため呼吸困難を自覚しづらい。そのため数時間たって肺うっ血が高度になってはじめて呼吸困難を自覚して覚醒する。

急性肺水腫

肺の静脈・毛細血管圧が上昇し、肺間質に水分が漏出した状態が肺うっ血で あり、聴診では湿性ラ音が聴取される。そして、血管圧がさらに上昇すると肺胞内にも水分が濾出し、気道にあふれ出る。これらが急激におこることが急性肺水腫である。
患者は激しい呼吸困難を自覚し、窒息の恐怖も感じる。重篤な例ではチアノーゼがみとめられ、ピンク色の泡のような痰がでる。また、聴診では、気管支喘息様の低調な連続性ラ音が聴取されるため、心臓喘息ともよばれる。分泌物によって気管支の内腔が狭くなり、また小気管支壁が浮腫により肥厚することにより、喘鳴が生じる。

チェーンーストークス呼吸

チェーン-ストークス呼吸とは、無呼吸と激しく呼吸する過換気の状態が交互にあらわれる異常呼吸である。脳動脈硬化症に心不全を伴った場合によくみられ、高齢者に多い。

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