(急性・慢性)心不全の原因や徴候を知り、治療方法を学ぼう!

心不全について

心不全とは、「なんらかの原因で心臓のポンプ機能が低下し、全身の各組織 が必要とするだけの血液を抽出できない状態」をさす。ひと口に心不全といっても、原因はさまざまであり、それに伴い、その病態もさまざまである(下記の表に詳細あり)。以前、わが国では、弁膜症による心不全が多くみられたが、生活習慣の欧米化に伴い、虚血性心疾患による心不全が増加している。また、高齢化に伴 い、高血圧を背景とする拡張不全も増加している。病態により症状や治療は異なることから、まず、その病態を理解することが重要である。

【心不全の原因】
(1)冠状動脈疾患
 ・心筋梗塞、心筋虚血
(2)心筋疾患
 ・特発性心筋症:拡張型心筋症 肥大型心筋症、拘束型心筋症、など
 ・二次性心筋症:サルコイドーシス、アミロイドーシス、内分泌疾患、膠原病アルコール性など ・心筋炎
(3)弁膜症
 ・大動脈弁疾患、僧帽弁疾患、三尖弁疾患
(4)先天性心疾患
(5)心膜疾患
 ・収縮性心膜炎、心タンポナーデ
(6)高血圧
(7)不整脈
 ・高度の頻脈、高度の徐脈
(8)肺疾患
(9)貧血

心不全の病態とその分類について

左心不全と右心不全の病態と分類

心臓は、左房・左室の左心系と右房・右室の右心系に分けられるため、心不全も左心不全と右心不全に分けられる。

左心不全

心筋梗塞などで左室の収縮力が低下すると、全身への血液拍出が少なくなる。また同時に、抽出しきれない血液が左心系にうっ滞する。左房の手前には肺があるため、血液のうっ滞は肺に広がり肺うっ血をきたす。肺のうっ血は、血液 の酸素化を妨げ、呼吸困難や息切れを生じる。僧帽弁狭窄症では、左室機能は 正常だが、左房から左室への流入が妨げられ肺うっ血をきたす。このように、左心系のなんらかの障害で、全身への血液供給の低下と肺うっ血をきたす病態を左心不全という。血行動態的には、心拍出量が低下し左房圧(肺動脈楔入圧)が上昇する。

右心不全

一方、右室の心筋障害、肺動脈狭窄や三尖弁逆流などにより、右室からの拍出が少なくなると、抽出しきれない血液が、右心系とその手前にある静脈系にうっ滞する。これにより浮腫や肝腫大を生じる病態が右心不全である。血行動
態的には、右房圧および中心静脈圧が上昇する。

両心不全

左心不全が続くと、肺うっ血に伴う肺高血圧が右室への負荷となり、右心不全も併発する。このような状態を両心不全という。左心不全と右心不全どちら が優位かは個々の症例で異なるが、多くの心不全患者は両心不全をしている。

収縮不全と拡張不全

たとえば、井戸のポンプを使うには、水をくみ出す力とくみ上げる力が必要である。同様に、心室も、血液を駆出する能力と次に送り出す血液を心房から受け入れる能力が必要であり、前者を収縮能、後者を拡張能とよぶ。
心不全というと、心筋梗塞や拡張型心筋症のように左室収縮能の低下した収縮不全をイメージするが、最近、左室収縮能の低下がない心不全の存在が注目されている。この心不全は、高血圧の既往のある高齢者の女性に多く、心房細
動の合併が多い。これらの症例では、拡張能が低下しているために、左房から左室への流入が追い付かず、左房圧が上昇するため、左心不全を呈する。拡張不全では、頻脈になると左室拡張期が短くなりさらに左室への流入が少なくな るため心不全が悪化する。

急性不全と慢性不全

心不全が急激におこる状態を急性心不全、慢性的に持続している状態を慢性 心不全という。以前は、両者の違いは心不全の時期だけの違いと理解され、急性期に有効であった治療がそのまま慢性期にも行われていた。しかし、現在で は、慢性心不全の病態の中心はポンプ機能を代償するための生体の過大反応であり、単に急性心不全の病態が慢性化したものではないことがわかっている。

急性心不全

急性心筋梗塞に伴う左心不全がその代表である。血液循環の急ブレーキに対し、全身の準備(代償機構)が間に合わないため、容易に肺うっ血をきたし、呼 吸困難に陥る。心拍出量の低下が著しければ、血圧が維持できずショックとなる。

慢性心不全

ポンプ機能の低下に伴う血圧の低下に対し、生体はさまざまな代償機構をはたらかせて、循環を維持しようとする。その1つが交感神経の活性化であり、心筋の収縮力を高め、心拍数を上げ、心拍出量を維持しようとする。また、レニン-アンギオテンシン-アルドステロン(RAA)系とよばれるホルモン機構が活性化され、末梢血管を収縮させるとともに循環血液量を増加させ、血圧を維持しようとする。

しかし、これらの代償機構は心臓にとってはけっしてよいことではない。弱った心臓への交感神経のはたらきかけは、「やせ馬に鞭打つ」こととなり、心筋細胞の疲弊をまねく。RAA系の活性化は、心臓にとっては後負荷・前負 荷を増すことになる。また、アンギオテシンやアルドステロンは、直接心臓にはたらいて心筋の肥大や線維化を促進させる。このような状態が続くと、心臓は拡大(リモデリング)するとともに、個々の心筋への負担が増し、結局はポン プ力がさらに低下する。したがって、心不全症状が持続するばかりか、徐々に進行し、やがては死にいたる。つまり、神経体液(ホルモン)因子の過代償による悪循環が慢性心不全の主犯といえる。

心不全の診断と徴候

心不全の診断は、症状と身体所見、検査所見により行われる。フラミンガムの心不全診断基準(下記の表に詳細あり)が広く用いられているが、現在では、これらの古典的な徴候に加え、心エコー検査、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)測定を行うことにより、より正確な診断が可能になっている。

【フラミンガム研究の心不全基準】
大基準
  ・発作性夜間呼吸困難
  ・頸静脈怒張
  ・ラ音
  ・胸部X線上での心拡大
  ・急性肺水腫
  ・重音、ギャロップ
  ・中心静脈圧上昇> 16cmH₂O
  ・肝頸静脈逆流
  ・治療に反応して5日間に4.5kg 以上の体重減少
小基準
  ・下肢の両側浮腫
  ・夜間の咳
  ・労作時呼吸困難
  ・肝腫大
  ・胸水
  ・肺活量が最大の1/3以下
  ・頻脈 120/分以上
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(大基準2項目、あるいは大基準1項目+小基準2項目を認めれば心不全と診断)

心不全の徴候

心不全の症状と診察所見は、
⓵.左心不全による肺うっ血の徴候
⓶.右心不全 徴候
⓷.心拍出量低下の徴候の3つに分けると理解しやすい。

肺うっ血の徴候

肺うっ血の症状
軽症では労作時の息切れであるが、重症になると安静時の呼吸困難、起座呼吸となる。座位や立位では、重力の影響で下肢や腹部の血液は心臓に戻りにくいが、夜間などに仰臥位をとると、心臓への血液還流が増加する。心不全では、この増加した血液をすべて駆出することができないため、肺うっ血が増強する。夜間発作性呼吸困難はこのようにして生じる。このとき、患者は、自然と、座位をとることで心臓への血液還流を減少させ呼吸をらくにしようとする。これが起座呼吸である。
心不全の重症度分類として、息切れの程度をもとにしたニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類があり、幅広く用いられている。問診では、年齢により運動能力は異なることから、同年代の人と比べて同じ速さで歩けるかどうかを聞くとよい。また、肺うっ血により、咳をみとめることも あり、感冒と思って受診することも多い。重症の急性左心不全では、ピンク色の泡沫状膝をみとめる。

肺うっ血の身体所見
肺の聴診では、吸気の末期に両側肺下部で聴取される水泡性ラ音(湿性ラ音)が特徴である。ラ音は、急性左心不全で明瞭に聴取される。慢性心不全では肺うっ血が強くても聴取されないことが多い。また、重症の急性左心不全では、気管支喘息のような喘鳴を聴取することがあり、心臓喘息とよばれる。
肺うっ血をきたす状態では、左室の拡張期圧が上昇しており、心臓の聴診ではこれを反映してⅢ音を聴取する。馬のかけ足のような奔馬調律(ギャロップリズム)となることもある。

右心不全の徴候

右心不全の症状
静脈圧の上昇により浮腫が生じる。下腿を中心とする左右対称の浮腫で、タ方に増悪し翌朝に軽減する。顔面や上肢の浮腫は、心不全の末期までは少ない。消化管のうっ血により、食欲不振や腹部膨満感を自覚することもある。
右心不全の身体所見
整骨前面を親指でしばらく押すと、くぼみができてしばらく戻らないことで浮腫を確認する。ほかに、頸静脈の怒張、肝腫大、重症になると腹水が出現する。

心拍出量低下の徴候

心拍出量低下の症状
骨格筋への血流不足により、易疲労感や下肢のだるさ、末梢循環の低下により手足の冷えを自覚する。心拍出量低下が高度になると、安静時にも身のおきどころのないようなだるさを訴える。また、腎血流の低下により、尿量の低下 をきたす。ただし、心不全の初期には、夜間多尿をみとめることがある。これは、日中の立位活動時は、静脈還流の減少と骨格筋などに血流を奪われることによって、腎血流が低下し、尿量が減少する一方で、夜間は、安静臥位をとることによって腎血流量が増加し、尿量の増加をもたらすためである。
※血流は最後まで維持されるが、心拍出量低下が著しいと、意識レベルの低下や錯乱、せん妄などをみとめる。
心拍出量低下の身体所見
1回拍出量の低下を回数で補おうとするため、頻脈となる。手足は冷たい。心拍出量低下が高度になると、血圧は低下し、冷汗・チアノーゼをみとめる。

心不全の診断のための検査

 [1] 胸部X線
心拡大をみとめ、心胸郭比(CTR)は増大する。心拡大は慢性心不全で著しい。これに対し、肺うっ血所見は急性心不全で著明であり、急性肺水腫の場合、両側肺部門に左右対称性の蝶形の陰影がみられることがある。また、胸水の貯留があれば、左右肋骨角が鈍となったりする。

 [2] 心電図
心不全に特異的な所見はない。ST低下などの心負荷を反映する所見や、心筋梗塞や心房細動などの心不全の原疾患を反映した所見をみとめる。

 [3] 心エコーなどの画像診断
心エコーは、心臓の形態と機能をベッドサイ ドで簡単に評価できるきわめて有用な検査である。左室駆出率の低下した収縮 不全か否か、左房圧上昇はあるか、肺高血圧はあるか、右房圧の上昇はあるか、などの情報が得られる。もちろん、弁膜症など基礎心疾患の診断にも有用である。エコー以外では、核医学検査や心臓カテーテル検査で心機能を評価できる。

 [4] BNP 測定
脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は、おもに心室から分泌されるホルモンであり、その血中濃度は心室の負荷に 比例して上昇する。心不全では必ずといってよいほど上昇し、心不全の重症度とともに高値となる。15分程度で測定できるキットもあるため、呼吸困難で 来院した外来患者の心不全診断にも有用である。また慢性心不全患者の治療の ガイドとしても有用であり、現在ではほぼルーチンに測定される。

 [5] 動脈血酸素分圧・動脈血ガス分析
肺うっ血の程度に比例し、動脈血酸素分圧(Pao2)は低下する。パルスオキシメータにて測定する。急性左心不全 で、アシドーシスの把握が必要な場合は、動脈穿刺により動脈血を採取しガス分析を行う。

 [6] スワン-ガンツカテーテルによる血行動態評価
スワン-ガンツカテーテ ルを肺動脈へ挿入し、圧をモニターすることにより、右房圧や肺動脈圧、肺動脈楔入圧、心拍出量などの血行動態の正確な評価が可能となる。しかし、心エコーなどの非侵襲的な検査の進歩や、大規模試験の結果から、ルーチンに行う検査ではなくなっている。

心不全の治療

心不全を治療するには、原因疾患の診断・治療と、心不全そのものの治療の 両方が不可欠である。たとえば、心筋虚血が原因の心不全患者に、虚血の管理 なしに心不全の治療を行っても改善は見込めない。個々の原因疾患の治療は他 項にゆずり、ここでは心不全そのものの治療を説明する。

急性心不全の治療

集中治療室やCCUで管理されることが多い。初発の急性心不全では、原因の診断と心不全治療を同時進行で迅速に進める。まず、意識レベル、つまり血圧の低下からショック状態に陥っていないか確認する。
呼吸困難が強い場合は、ベッドを上げ、半座位を保つ。静脈路を確保する。酸素を投与し、必要があれば、NPPV・気管挿管を行う。
その後、血行動態に適した治療を行う。ポイントは、⓵.心拍出量の大幅な低下があるか、⓶.左房圧上昇による肺うっ血が強いかの2点である。これらをみるため、スワン-ガンツカテーテルが用いられる。また、それら2点の有無から血行動態を4群に分類するフォレスター分類が有名である。しかし、前述のように、侵襲的なスワン-ガンツカテーテルは頻用されなくなっている。そこで、診察所見から同様の血行動態分類を試みたものにノーリア分類がある。

薬物療法

 [1] 鎮静薬
呼吸抑制の少ない塩酸モルヒネを用いる。

 [2] 利尿薬
肺うっ血がある場合、フロセミドの静注を行う。即効性が期待できる。低カリウム血症に注意し、電解質の補正を行う。カルペリチドの持続静注は血管拡張・心保護作用もある。

 [3] 血管拡張薬
肺うっ血があり、かつ血圧が保たれている場合には、ニトログリセリンや硝酸イソソルビドの舌下、スプレーおよび静注投与が有効での る。症状が持続する場合は持続静注を行うが、高用量では耐性に注意するかわりにカルペリチドの持続静注を行う場合もある。心拍出量の低下を伴う場合は、血管拡張作用と強心作用をあわせ持つホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬が有用である。

 [4] 強心薬
心拍出量の著しい低下がある場合に用いられる。ドパミン、ド ブタミン、PDE阻害薬のなかから選択する。強心作用は、ドパミン>ドブタミン> PDE阻害薬の順で強い。一方、ドブタミンとPDE阻害薬は血管拡張作用もあり、後者でその作用が強い。

 [5] 昇圧薬
肺うっ血のない血圧低下では補液が中心となる。肺うっ血があり、収縮期血圧が70~90mmHg の場合ドパミンを開始し、70mmHg 以下ではさらにノルエピネフリンを追加する。

非薬物療法

上記の治療によっても、NYHA分類Ⅴ度の状態で、収縮期血圧90mmHg未満、心係数2L/分/m以下、肺動脈楔入圧20 mmHg 以上が持続する場合は、大動脈内バルーンパンピング(IABP)や経皮的心肺補助(PCPS)など機械的補助循環をすみやかに導入する。

慢性心不全の治療

以前は強心薬と利尿薬が中心であったが、多くの大規模臨床試験の結果、これらでは症状は改善できても、患者の寿命をのばすことができないことがわかってきた。前述したように、左室収縮機能が低下した慢性心不全の主犯は、
交感神経とRAA系による過剰な代償である。現在は、これらを抑制する薬剤が治療の中心であり、症状と生命予後の両方の改善が期待できる。一方、拡張不全に対し予後を明らかに改善させる薬物は現在のところ見つかっていない。

慢性心不全の生活指導

塩分の制限が非常に重要である。軽症例では6~8g/日、重症例では4~6g/日を指導する。従来行われてきた水分の制限は他臓器、とくに腎臓の血流量を減らすため、通常は行わない。ただし重症例で低ナトリウム血症をみとめ る場合は水分制限が必要となる。
過労やストレスは避けるべきであるが、過度の運動制限は、患者の循環調節力を衰えさせる。状態に合わせた運動療法をすすめる。たとえば、中等度までの慢性心不全であれば、年齢別最大心拍数の70%程度までのウォーキングな どを指導する。
心不全増悪の因子として、感染、内服の自己中止、暴飲暴食、心不全を起因させる薬物の服用などがある。感冒に罹患しないよう注意させ、服薬をまもらせる。非ステロイド系消炎鎮痛薬やI群抗不整脈薬の運用は心不全を悪化させる。
心不全増悪のきざしは、体重増加にあらわれることが多い。そこで毎日を記録する習慣をつけさせ、急激な体重増加時には利尿薬を追加するなど指示する。

慢性心不全の薬物治療

 [1] ACE 阻害薬
前述したとおり、RAA 系の活性化は慢性心不全進展い。
の1つである。アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬は、RAA系 基本薬であり、軽症から重症まで、左室収縮能の低下した慢性心不全に れる。本薬により慢性心不全患者の長期の死亡率を20~30%減少できる。咳嗽などの副作用がない限り、必ず投与すべき薬剤である。
した慢性心不全に用いら

 [2] B遮断薬
従来B遮断薬は心機能抑制作用があることから、心不全には禁忌とされていた薬剤である。しかし、交感神経系の亢進が、慢性心不全進展 のもう1つの主因であることが明らかとなった現在では、軽症から重症まで 必ず使用すべき基礎薬となっている。
心不全患者にB遮断薬の常用量をいきなり投与すると、心不全が増悪する。そこで、ごく少量より開始し、心不全の増悪がないことを確認しながら数週~ 数か月をかけて徐々に増量する。有効例では心機能が著明に改善する。本薬により、左室収縮能の低下した慢性心不全患者の長期の死亡率を30~40%減少できる。喘息や徐脈がある例では使用できない。

 [3]アンギオテンシンI受容体拮抗薬(ARB)
ACE 阻害薬と同様の効果が期 待できる。ガイドラインでは、咳などの理由で ACE 阻害薬が使用できない場 合に推奨されているが、使い勝手のよさから ACE 阻害薬よりも使用頻度が増えている。

 [4] 利尿薬
浮腫や肺うっ血の軽減が期待できる。速効性で作用が強力なフ ロセミドが最もよく用いられる。ただし、高用量のフロセミド連用は腎機能悪 化をまねく可能性があり、必要最低限の量を用いることが望ましい。重症例でフロセミドでのみでは十分な利尿が得られない場合、サイアザイド系利尿薬の併用が有効である。

 [5] アルドステロン拮抗薬
以前は、フロセミド使用時の低カリウム血症予 防目的に併用することが多かった。しかし最近では、アルドステロンがRAA 系のなかでアンギオテンシンⅡとならんで心不全進展因子になることがわかり、とくに重症心不全で積極的に用いられるようになっている。

 [6] ジギタリス
古くから用いられてきた心不全治療薬である。現在では、心房細動合併例または上記薬剤でも症状が改善しない心不全に用いられる。ジギタリス中毒を防ぐため、血中濃度の測定を行う。

 [7] ジギタリス以外の強心薬
経口強心薬は、収縮不全の心不全症状を改善 するが、やせ馬にムチ打つ治療となったり、危険な不整脈を誘発したりするため、長期予後を悪化させる可能性すらある。上記薬剤でも症状が改善しない重 症心不全に対し、ピモベンダンを少量で使用する。また、十分な内服薬でも、NYHA分類IV度の末期心不全では、強心薬の持続静注を行う。

慢性心不全の非薬物治療

 [1] 心臓再同期療法
重症慢性心不全患者には、しばしば左脚ブロックや左室内伝導障害をみとめる。左室の伝導障害があると、左室側壁は中隔に比べ遅れて収縮し、左室全体として協調性のない収縮パターンとなる。この結果、心拍出量は低下し、心不全の増悪因子となる。そこで、右室リード以外に、左室の側壁にもリードを留置し、左室を右室側(中隔側)からと自由壁側からちょうどはさみ込むように同時ペーシングし、収縮のずれを是正する方法が両室ペー シングによる心臓再同期療法(CRT)である。その適応は QRS 幅 0.12 秒以上、左室駆出率35%以下、NYHA分類ⅢまたはⅣ度の重症心不全である。慢性心不全患者では突然死も多いため、現在は植込み型除細動機能も付加したCRTD が主流である。

 [2] 補助循環装置
末期心不全で薬物では血行動態を維持できなくなった場合には、IABP や PCPS を行う。また、心臓移植の適応があれば、補助人工心臓を装着して移植を待つ。

 [3] 心臓移植
60歳以下で、心臓移植以外に有効な手段がなく、短期予後がきわめて不良と考えられる末期心不全が適応である。

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