てんかんの原因と分類や発作の型の種類を学ぼう!

てんかんとは?

てんかんとは、脳の異常な電気活動によって神経細胞が過剰な興奮をおこし、けいれんや意識障害などの症状を呈する発作性の疾患である。てんかんを有する患者では、反復性、慢性にこのような発作が繰り返される。人口10万人あたり200~300人の患者がいるとされている。

てんかんの分類

てんかんは発作のおこり方によって、大きく部分発作と全般発作に分類される。部分発作は焦点といって、異常な電気活動が脳のある1つの領域から始まるもの(焦点発作)である。異常な電気活動が脳の一部のみで始まるため、発作の症状もからだの一部から始まる。巻き込まれる脳領域が少なければ意識は障害されない(意識障害を伴わないものを単純部分発作という)。多くの脳領域が巻き込まれるほど意識障害もおきやすくなる(意識障害を伴うものを複雑部分発作という)。複雑部分発作では、前兆を呈することが多い。それに対して全般発作は、異常な電気活動が両側の大脳半球で同時におこり、発作が始まるものである(一次性全般発作)。一次性全般発作の多くは遺伝的素因を有し、発作は20歳以前、とくに生後から2か月ごろに始まることが多い。
一次性全般発作では、発作は両側性に始まり、症状の局在もはっきりしない。
このような型のてんかんでは前兆を伴わないことが多く、発作も最初は部分発作として脳の一部の領域から始まるものがある。このような部分発作は、皮質間あるいは脳梁などの連合線維を通じて、隣接した領域や対側の大脳半球に異常な電気活動が広がり、異常な活動が全般化して意識障害や全身けいれん発作にいたる場合がある(部分発作の二次性全般化)。

てんかんの原因

てんかんは原因の不明なもの(真性てんかんまたは特発性てんかん)と、腫瘍・感染症・周産期異常などに続発するもの(症候性てんかん)とに分けられる。前者では頭部CTなどで神経画像を撮影しても、異常が見つからない場合が多い。一方、30歳以降に発症する症候性てんかんでは、原因となる局所的な病 変が見つかることが多いが、あてはまらない例も少なくない。
てんかん患者の約50% は、10歳以前に発症し、大人になると多くの患者で発作はおきなくなる。15歳以下(通常6~36か月)の小児では、高熱に伴って強直間代性の発作がおきることがあり、熱性けいれんといわれる。多くは1回ないし2回しかおきず、てんかん発症の危険因子にはならないと考えられているが、発達障害を伴うもの、時間が長く、繰り返す熱性けいれんは危険因子になるとされる。

おもなてんかんの発作型の種類

以下に主要なてんかんの発作型について述べる。

     【てんかん発作の分類】
 Ⅰ.全般発作
⓵.強直発作、間代発作、強直間代発作(大発作)
⓶.欠神発作(小発作)
⓷.ミオクローヌス発作
⓸.ウエスト症候群
⓹.脱力発作
⓺.その他
 Ⅱ.部分発作
⓵.単純部分発作
  :焦点発作(運動発作、感覚発作、自律神経発作など)
⓶.複雑部分発作
  :精神運動発作など
⓷.二次性全般発作(部分発作から始まり二次的に生放発作に移行するもの)

部分発作について

単純部分発作

単純部分発作も、異常な電気活動のおこる脳の領域によって、運動* の他の異なる症状がみられる。運動発作部分発作の1つで、けいれんなどの運動が身体の一部にみられるものである。運動野などを中心に異常な電気活動がおこった場合に、手先や口もとなど 身体の一部に始まったけいれんが、他の部位に連続的に広がっていき、あるときには、全身に拡大するような症状を呈する(これをジャクソン行進という)。
前頭葉の眼球運動中枢付近を中心とした異常な電気活動では、異常な電気活動がおこっている側と反対側に両眼が偏位し(共同偏視)、また反対側の肘を曲げ挙上して、それを見つめるように首を回転させる、特徴のある発作をおこす(向反発作)。また発作のあと、けいれんをおこしていた身体の部分が一定の時間麻痺をおこすことがあり、これをトッド麻痺という。

感覚発作

体性感覚野に異常な電気活動がおきた場合に、身体の一部にしびれなどの異常感覚をきたすものである。それが徐々に広がっていく場合もある。自律神経発作> 自律神経症状がてんかん発作として出現するもので、頭痛、めまい、吐きけ・嘔吐、感覚異常などを呈する。その他の発作以上のほかに、一時的に記憶や感情に異常をきたす発作がある。また、はじめての風景なのに、過去に一度見たことがあるような既視体験(既視感:デジャヴュ)、あるいは見慣れている情景なのに一度も見たことがないような未視体験(未視感:ジャメヴュ)を呈することもある。

複雑部分発作

意識障害を伴う発作で、側頭葉に焦点を有する側頭葉てんかんによるものが 多い。かつては精神運動発作ともよばれていた。口をもぐもぐさせたり、衣服をいじったりするような、無目的な動作を繰り返し、その間の記憶が患者にはない(自動症)。その間呼びかけても応答しないなど、周囲との疎通性も失われる。脳波では一側の側頭葉に棘波や鋭波をみとめることが多い。

全般発作について

全般発作の検査・診断

特徴的な臨床上の所見によるほか、発作時および発作間欠期に脳波で異常波を検出することによって診断する。しかし、発作間欠期には脳波に異常波をみとめないことも多く、感度は30%程度とされる。頭部CT・MRIでけいれん発作の原因となりうるような病変、たとえば小さい腫瘍・出血性病変や血管奇形などがないかどうかを検索する。頭部MRIで病変が明らかでない場合でも、SPECTやPETで脳血流の分布を調べれば、焦点の位置がわかることがある。

全般発作の治療

緊急に発作をとめるには、呼吸抑制に注意しながらジアゼパム(セルシンR)の静脈内注射を行う。また慢性期の治療には、抗てんかん薬などによるてんかんの抑制が主となる。
抗てんかん薬は、発作の種類・頻度、薬の副作用、患者の年齢などを参考に選択する。単剤による治療が基本となるが、難治性のてんかんには複数の薬剤が用いられることがある。発作間欠期も抗てんかん薬の内服と定期的通院が必要であり、抗てんかん薬を中止した場合には 1/3の患者で再発がみられる。
若い女性患者には、内服薬の胎児への影響(催奇形性)などについて十分な説明を行い、催奇形性の少ない薬剤を、できれば単剤で、必要最小限の量用いて治療する。内科的治療で抑えられない難治例や、脳腫瘍が原因となっている患者では、外科的手術が行われることもある。アルコール摂取・過労・睡眠不足がきっかけで悪化しやすいので、患者にはよく説明をして注意を促す。

強直間代性発作

最も典型的なてんかんの全般発作で、意識障害のほかに、持続性の筋収縮よって四肢をつっぱるような発作(強直性けいれん)に引きつづき、数十秒後から1分後に間代性けいれん)がみられる。発作中に舌をかんだり、失禁がみられたりすることがある。発作後、患者は大きな息を吐き、眠り込む。以前は大発作といわれていたものである。

欠神発作

欠神発作では5~15秒間の短時間の意識消失発作がおこり、患者は一時的 に動作をやめてじっとし、凝視する。発作後はもとの動作に戻る。小児、とくに6~12歳の女子に多くにみられる小発作が典型的である。脳波では全般性の3Hzの棘徐波結合がみられる。発作は過呼吸によって誘発されやすい。

ミオクローヌス発作

ミオクローヌス発作は先天性代謝異常・変性疾患などでみられ、四肢・ 屈筋などに短い筋肉の収縮であるミオクローヌスが対称性におこる発作である。意識は保たれる。1~10歳の小児に多い。脳波上は多くの棘波のあとに徐波が続く多棘徐波結合がみられる。抗てんかん薬にはクロナゼパムなどが用いられる。

ウエスト症候群(点頭てんかん)

ウエスト症候群は、4~12か月の乳児、とくに男児に多くみられる難治性のてんかんである。驚いたように両手を広げ、頸部を前屈させる特徴がみられるため、「点頭てんかん」の名がある。(点頭とはうなずくこと)
70%程度に重篤な精神運動発達障害を残す。原因不明の場合もあるが、結 節性硬化症・フェニルケトン尿症などの先天性代謝異常、脳奇形、分娩時の脳損傷などでみられる。
ヒプスアリスミアといわれる特徴的な脳波所見を呈する。ACTH療法などのほか、クロナゼパム・バルプロ酸ナトリウムなどの抗てんかん薬 、ビタミンB6の投与が行われる。

脱力発作

頭部・体幹・四肢などの姿勢保持に必要な筋に短時間脱力を生じ、全身の筋緊張が低下して、ばたんと倒れたり、しりもちをついたり、頭を垂れたりするもので、短時間の意識消失がみられる。

てんかん重積状態について

けいれん発作が間断なく繰り返しおこり、1回の発作が長く遷延したり、発作と発作との間にまったく意識の回復がみられないものをてんかん重積状態という。生命も危険に瀕するうえ、低酸素脳症や脳浮腫をきたして脳の神経細胞に不可逆的な障害が加わるので、救急疾患として早急な対応が求められる。通常のてんかん発作は5分以上持続しないことが多いので、それ以上持続する発作については、てんかん重積状態の可能性を考えて対応しなければならない。
バイタルサインをチェックし、気道確保を行い、酸素を投与する。それでも発作がおさまらない場合は、気管挿管、人工呼吸器による管理を行って 全身麻酔薬を投与することがある。発作時には患者の外傷や、吐物の誤嚥、咬舌に注意する。
緊急に発作をとめるためにジアゼパムの静脈内注射が行われるが、管理のためにフェニトインも用いられることが多い。脳浮腫に対しては、グリセロールなど頭蓋内圧降下薬が用いられる。脳波や薬物血中濃度をモニターしがら、状態が落ち着いたら抗てんかん薬の内服に切りかえていく。

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