クモ膜下出血の原因や症状を学び、治療・予防方法を理解しよう!

クモ膜下出血とは?

クモ膜下出血とは特定の疾患名ではなく、クモ膜下腔に出血した病態の総称である。クモ膜下出血をきたす原因には、脳動脈瘤の破裂、脳動静脈奇形からの出血や、頭部外傷などがある。なかでも重要なのが脳動脈瘤破裂で、クモ膜下出血全体の原因の3/4以上を占める。脳動脈瘤の破裂は50歳代にピーク がある。本項では以下、脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血について解説する。

クモ膜下出血の原因-脳動脈瘤の破裂

脳動脈瘤の形成

脳動脈瘤とは、脳動脈の一部が(とくに血管分岐部などで)嚢状または紡錘状にふくらんだものをいう。多くは、動脈壁の一部(中膜)が先天的あるいは後天的に欠損、弱体化し、そこに血流・血圧などの圧迫が長期に加わることによって、徐々にふくらんで形成されると考えられている。
たまに主幹動脈、とくにウィリス動脈輪を形成している動脈の分岐部に好発する。大部分は単発性(1か所のみの発生)つながるが、多発する例も20%前後にみられる。家族性の発生も確認されている。これら以外に、解離性動脈瘤とよばれ、動脈壁の層構造が解離し、その間隙に血流が侵入するために生じる動脈瘤(椎骨動脈に多くみられる)や、真菌症や外傷などの特殊な成因による動脈瘤もある。

動脈塞の破裂

脳動脈瘤の壁は引きのばされているので、部分的にきわめて薄くなっている。その弱い部分が突然に裂けると、そこから動脈性の出血が生じる。これが脳動脈瘤破裂である。脳動脈瘤は心臓の拍動に呼応して、つねに血流・血圧のストレスにさらされている。血圧の上昇が破裂の誘因の1つであるが、必ずしも血圧上昇時ばかりにおこるわけではなく、いつ破裂するかは予測ができない。

脳動脈瘤の再破裂

出血部は、早晩、周囲の脳組織と癒着したり血餅が付着したりして、いったんは正面される。しかし、非常にあやうい止血状況であり、その後も血流・血圧のストレスにさらされつづけているので、再度、破裂(再破裂)する可能性が高いことは容易に想像ができる。再破裂は初回発作後24時間以内に多くおこっているが、2週間以内で約1/3、4週間以内で約 1/2に再破裂をおこす。再破裂では裂け目がさらに大きくなり、初回破裂時より重篤な出血をきたすことになるので、死亡率は初回発作時を上まわる。

クモ膜下出血発症時の症状

突然に、それまでに経験したことがない激しい頭痛が、クモ膜下出血の主症状である。頭痛は数日間、軽減せず持続する。嘔吐も伴い、そのまま意識消失に陥ることもめずらしくない。
項部硬直やケルニッヒ徴候などの髄膜刺激症状は、直後にはみられないことが多い。意識はすぐに、あるいは徐々に(一両日内に)回復することもあるが、回復せずそのまま死にいたることもある(クモ膜下出血全体の1/3前後)。そのほか、けいれんなどがみられることもある。
他方、脳の局所症状、すなわち片麻痺や失語症などを呈することは少ない(脳内血腫を合併した場合などを除く)。

クモ膜下出血の診断

現病歴や髄膜刺激症状などからクモ膜下出血が疑われたら、CT検査を行う。もしCTで診断が確定しない場合は、脳脊髄液(髄液)検査を行う。血性脳脊髄液がみとめられれば診断は確定する。膜下出血の診断がつけば、脳血管撮影や最近は CT(3D-CTA)やMRI)などで脳動脈瘤の存在を確認し、その部位・大きさ・形状や、鎖部の状態を詳しく検討する。

破裂脳動脈瘤の治療

すでに上で述べたように、一度破裂した脳動脈瘤は再破裂の可能性が高く、再破裂時の死亡率は初発時よりも一層高い。すなわち、再破裂の予防がそのまま治療であり、最も重要である。

再破裂の予防

再破裂の予防は、手術的治療によって行われる。さまざまな合併症に対する治療も並行して行われるが、再破裂予防のための手術は、あくまでも救命が主目的であり、意識障害や片麻痺などの神経症候の改善を見込むためのものではないことを理解しておきたい。

手術の方法
手術の方法は、開頭手術を行って動脈瘤を処置する方法と、経皮的に行う脳血管内手術とに大きく分けられる。
⓵.開頭手術
全身麻酔下に開頭(「開頭手術」の項参照)を行い、顕微鏡下に脳動脈瘤の頸部を金属製の脳動脈瘤クリップで遮断する方法で、この方法が第一選択として行われている。
⓶.脳血管内手術
開頭せずに、脳血管撮影に準じた方法でカテーテルを挿入し目的の脳動脈瘤内にGDCコイル)を留置して脳動脈瘤の血栓化をはかる術式である。

手術の時期
手術は、再破裂の予防を目的としている以上、初回発作後できるだけ早期に行うことが望ましいが、脳血管れん縮との関係で待機 手術を考慮することもある。
また、本症の予後とよく相関するのが臨床症状、とくに重症度である。重症度は手術適応決定の判断材料とされ、重症でない場合(ハント-ヘス分類のⅠ~Ⅲ)には早期(発症 72時間以内)の手術がすすめられている。比較的重症例(Ⅳ)でも状況によっては積極的手術がすすめられているが、重症例(Ⅴ)では実際の手術適応例は少ないとされる。
そのほか、全身状態、手術の難度、治療法などを症例ごとに検討して手術の適応や時期を決定する。クモ膜下出血が疑われた場合や待機手術の場合、あるいは保存的に治療する場合などにも、医療者はつねに脳動脈瘤再破裂の危険性を念頭におき、患者によけいな刺激を与えることのないよう慎重な対処が必要である。

合併症の治療

ある程度大きな脳内血腫を伴っている場合には、血腫除去手術をあわせて行 う。急性水頭症を合併している場合は、脳室ドレナージ術などを併用する。また血腫や、循環障害などによる脳腫服・脳浮腫に対しては、減圧開頭術が考慮される。
脳血管れん縮に対しては決定的な治療法はないが、トリプルH療法をはじめ、いくつかの薬物療法(ファスジル塩酸塩水和物やオザグレルナトリウムなど)や、クモ膜下血腫の迅速な排除を目ざした物理的洗浄法、血管内治療としてこのバルーンによるれん縮血管の拡張法など、各種の方法が試みられている。

※語句の説明
・破裂動脈瘤の保存的治療とは?
さまざまな事情で破裂脳動脈瘤に対する根治的治療を行わない場合は、保存的治療で対応することとなる。疾患の性質上、とうてい保存的治療で対処しきれる状態ではないので、つねに再破裂の危険性と向き合いながら、再破裂の誘因を少しでも引躍することが主眼になる。
・トリプルH療法とは?
選発性脳血管れん縮による脳循環障害の改善に対する治療法の1つ。3つのHすなわち、hyper volternia(循環血液量補充)、henodiluation(血液希釈)、hmpettension(高血圧療法)をあわせて行うもので、有用性がみとめられている。

クモ膜下出血の予後

クモ膜下出血発症時の意識障害の程度は、予後とよく相関する。クモ膜下出血の概括的な転帰は、発作が重篤で治療を受けることなく死亡する割合が1/3、再破裂予防の手術を含めて治療を受け社会復帰を果たす割合が 1/3、種々の後遺症を残し生活援助を必要とする状態となる割合が 1/3と、おおまかに知っておくとよい。

未破裂脳動脈瘤

未破裂脳動脈瘤とは、破裂によるクモ膜下出血をおこしていない状態で発見される脳動脈瘤のことである。現在では、脳ドックの普及もあって、その数は増加している。

未破裂脳動脈瘤の症状

無症状のことが多いが、まれに脳動脈瘤の近くの脳神経や脳組織が圧迫され、眼瞼下垂や半盲などの神経症状を呈することがある。

未破裂脳動脈瘤の治療

手術的に治療して、破裂を予防することが望ましい。しかし、無症状であること、自然経過で破裂をおこす危険性は小さいこと(年に 0.5~2%といわれている)、手術の危険率も低いながら存在することなどを考慮して、術式も含めて慎重に決定される。未破裂脳動脈瘤の大きさ(5mm を基準)や、患者の年齢(70歳を基準)などを目安にした指針も示されている。

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