(細菌・無菌・結核・真菌・がん)性髄膜炎の症状や治療方法を学ぼう!

髄膜のうち軟膜に生じる感染による炎症性疾患を髄膜炎という。頭痛、発熱、項部硬直などの髄膜刺激症状がみられる。とくに小児が頭痛を訴える装 髄膜炎を疑って項部硬直の有無を調べる必要がある。髄膜炎は脳脊髄液 よってはじめて診断が可能となるため、髄液穿刺が行われる。

細菌性髄膜炎について

化膿性髄膜炎ともよばれ、各種の細菌による髄膜炎を総称する。呼吸器感染症から血行性に広がる場合のほかに、中耳炎・乳様突起炎などの耳鼻科的疾患から波及するもの、開放性の頭部外傷から広がるものがある。乳幼児に好発する。年齢によって起炎菌が異なるが、病原体として多いのは、ブドウ球菌、肺炎球菌、髄膜炎菌などである。死亡率が30%にも達する重篤な疾患であり、早急な治療を必要とする。浮腫や脳膿瘍・血栓症・静脈血栓症・水頭症などが続発することがある。
髄膜炎の鑑別は、臨床経過をはじめ、脳脊髄液の外観・細胞数・タンパク質・糖などから行う。

細菌性髄膜炎の症状

39~41°Cの高熱、頭痛、嘔吐、意識障害、けいれんなどが急激に出現する。重症になると、意識レベルが低下し、昏睡に陥る。細菌性髄膜炎の患者では 40%程度にけいれんがみられる。脳底部の髄膜炎では、脳神経障害や脳血管障害をきたすこともある。

細菌性髄膜炎の検査

脳脊髄液検査で圧の上昇と、多形核白血球(好中球)を中心とする細胞数の増加やタンパク質の上昇と糖)の低下がみとめられる。

細菌性髄膜炎の治療・予後

急激に増悪して致命的となるので、病因菌の判明を待たずにただちに広域の抗菌薬で治療を開始しなければならない。血液・脳脊髄液などの細菌培養で原 因菌が同定できれば、感受性のある抗菌薬に切りかえる。
肺炎球菌にはペニシリンが用いられてきたが、最近、ペニシリン耐性の肺炎球菌が出現し、問題となっている。
抗炎症作用の強いデキサメタゾンなどの副腎皮質ステロイドが投与されることがある。頭蓋内圧が亢進し脳ヘルニアをきたす可能性もあるので、圧が亢進する患者ではグリセロールなど抗浮腫薬による治療を行う。けいれんに抗てんかん薬などによる治療も重要である。救命できた場合も、10~30%後遺症が残る。

無菌性髄膜炎(ウイルス性髄膜炎)について

ウイルスによって引きおこされる髄膜炎は、脳脊髄液検査などで死出できないため無菌性髄膜炎という。夏から秋にかけて多く、エンテロウイルス(コクサッキーウイルス・エコーウイルス)など腸内ウイルスによるものが多い。流行性耳下腺炎に伴う髄膜炎もある。

無菌性髄膜炎(ウイルス性髄膜炎)の症状

軽度の発熱、頭痛、倦怠感、項部硬直などがみとめられるが、通常、意識障害を呈することはない。

無菌性髄膜炎(ウイルス性髄膜炎)の検査

脳脊髄液検査で、タンパク質の上昇、単核球を主とする細胞数の増加がみとめられる。脳脊髄液・血中のウイルス抗体価の上昇、PCR によるウイルスの 同定が行われる。単純ヘルペスウイルスの感染によるもの以外は重症化することはないが、単純ヘルペスウイルス感染による疑いのある場合は、原因ウイルスの検索が急務である。

無菌性髄膜炎(ウイルス性髄膜炎)の治療

安静が第一で、保存的加療のみで軽快することが多い。通常、1~数週間で治癒し、後遺症をみることはほとんどない。ただし、単純ヘルペス脳炎の可能性が疑われる場合は、結果を待たずにアシクロビルなどを投与する。

結核性髄膜炎について

結核性髄膜炎は結核菌感染による髄膜炎であり、肺結核など他の病巣からの 感染の波及によることが多い。とくに6歳以下の小児に好発し、亜急性の経過をとり、診断・治療が遅れると死の転帰をとりやすい。免疫抑制状態やHIV感染の患者でみられることが多い。
脳底部に優位に炎症をきたす脳底髄膜炎のかたちをとることが多く、脳神経が障害されやすい。そのほか血管炎による脳梗塞や、髄膜の癒着によるクモ膜下腔の脳脊髄液還流障害によって、頭蓋内圧亢進や水頭症をきたしやすい。

結核性髄膜炎の症状

小児では動きが不活発になり、不眠、頭痛、食思不振、嘔吐、軽度の発熱などを呈する。成人では微熱 倦怠感、傾眠がみられる。脳底髄膜炎では、視力障害、外眼筋麻痺による複視、顔面神経麻痺、聴力障害、嚥下障害などの脳神経症状をおこす。

結核性髄膜炎の検査・診断

脳脊髄液検査では、圧上昇、単核球を中心とする細胞数の増加、糖の減少が確認されるほかに、日光微塵)やキサントクロミーがみられる。結核菌の髄液培養チールーネールゼン染色などによって診断がなされるが、培養には時間がかかる(約4週間)ため、PCRや最近では クォンティフェロン TB-2GB(結核菌診断用インターフェロン測定試薬)が用いられる。

結核性髄膜炎の治療

結核に対する強力な化学療法を行う。死亡率が高く、治療が遅れると重篤な病態を呈するので、本症が疑われる場合には、確定診断を待たずに早期に抗結 核薬による治療を行う。脳浮腫に対してはグリセロールなどが、重症患者には 副腎皮質ステロイドが用いられることがある。
治癒した場合でも、知能障害、麻痺失明、眼球運動障害、難聴などの後遺症を残しやすい。

真菌性髄膜炎について

真菌性髄膜炎は真菌の感染によっておきる髄膜炎であり、亜急性または慢性の経過をとる。クリプトコッカス=ネオフォルマンスによる髄膜炎が多い。健康な成人にも感染はおきるが、抗菌薬の濫用、副腎皮質ステロイド・免疫抑制剤の使用などによって易感染患者で増加傾向にある。HIV感染症の患者でもみられる。

真菌性髄膜炎の症状

微熱、頭痛、全身倦怠感、吐きけ・嘔吐などをもって発症し、数週間から数か月程度、亜急性あるいは慢性に経過したのち悪化し、徐々に意識障害や細 奮・不眠などの精神症状などをきたす。脳底部に病変が及んで視力障害・難聴などの脳神経障害をおこすことがある。水頭症や脳室炎を併発することもある。

真菌性髄膜炎の検査

脳脊髄液検査では、圧の上昇、単核球優位の細胞数の増加、糖の低下がみとめられる。血中・脳脊髄液中のクリプトコッカス抗原の検出や培養、あるいは脳脊髄液の墨汁染色によって菌体が証明される。

真菌性髄膜炎の治療

緊急に治療を必要とする重篤な疾患であり、感染を疑った時点でアムホテリシンBやフルコナゾールなどの抗真菌薬で治療を開始する。

がん性髄膜炎について

感染による髄膜炎ではないが、脳の軟膜への悪性細胞の播種性転移によるものをがん性髄膜炎とよぶ。がんの髄膜への転移・浸潤によって激しい持続性の 頭痛、脳症、脳神経症状、神経根症状を呈する。胃がん・肺がんなどからの転移が多い。脳脊髄液に腫瘍細胞をみとめ、タンパク質は上昇する。頭部CT・MRIで脳表が造影されることが多い。治療では抗がん薬の髄腔内投与や放射線治療が行われる。

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