脊髄小脳変性(SCD)の症状や検査を知り、治療方法を学ぼう!

脊髄小脳変性(SCD)について

脊髄小脳変性症は、脊髄・小脳に病変の中心がある変性疾患の総称である。小脳と脳幹から脊髄にかけての神経細胞が減少・消失していくため、徐々に出現し、ゆるやかに進行する運動失調を主症状とする。中年以降に発症するケースが多いが、若年で発症することもある。頻度は人口10万人に5~10人程度で、男女差はない。
さまざまな病型のものがあるが、臨床症状や病理所見が異なる多くの疾患が含まれる。病変の分布によって小脳型、脊髄小脳型、脊髄型などに分けられる。
孤発性のものが約70%、遺伝性のものが30%を占める。前者には小脳が主としておかされて小脳症状を主とするもの(皮質性小脳変性症)や、変性が大脳基底核・自律神経系・錐体路など多系統に及ぶ多系統萎縮症がある。孤発性のもののうち皮質性小脳変性症と多系統萎縮症の比率は1:2程度である。
後者の遺伝性のものは常染色体優性遺伝と劣性遺伝性染色体性遺伝形式をとるものがある。最近、遺伝子の異常が同定され、遺伝子診断が可能になっているものもある。

脊髄小脳変性の症状

小脳は身体を動かす際にバランスをとり、筋肉の協調運動や筋緊張、平衡保持に関与している。そのため、小脳が障害されると、個々の筋肉の低下していないにもかかわらず、協調運動や身体の平衡保持の機能に異常が起きて失調症状を呈する。
眼振や嚥下障害・構語障害もみられ、話し方もゆっくりとして不明瞭となったり、急に声が大きくなったり小さくなったりする。また指の細かい動きができなくなり、字がうまく書けなくなる。指鼻試験で異常常が確認でき、企図振戦がみられることがある。筋肉の協調運動障害による拮抗運動反復不能症や測定異常症がみられることもある。認知症は一部を除いてみられないことが多いが、膀胱直腸障害は伴うことが多い。

語句解説
・指鼻試験:指先を鼻の頭に持っていく動きを繰り返すと、指の先がうまく鼻のところにいかなかったり、手がふるえたりする。
・企図振戦:運動をしようと意図(企図)したときに著明になる手のふるえであり、脊髄小脳変性症に特徴的であるが、必ずしもみらられるわけではない。
・拮抗運動反復不能症:前腕の回内と回外を交互にすばやく繰り返す運動ができなくなる。
・測定異常症:一側の種を反対側の膝にあてたあと、下腿前面に沿って滑らせる膝腫試験を行わせると、届かなかったりいきすぎたりする。

脊髄小脳変性の検査

頭部CTやMRIで小脳の萎縮がみとめられる。脳幹や大脳基底核病変がみられる型の脊髄小脳変性症もある。

脊髄小脳変性の治療・予後

治療法は確立されておらず、対症療法が中心となる。プロチレリン酒石酸塩(ヒルトニン)の注射、その誘導体であるタルチレリン水和物(セレジスト)の内服が行われるが、大部分の患者ではあまり効果がない。起立性低血圧の症状に昇圧薬、排尿障害に対する治療薬や、けい縮の強い患者には抗けい縮薬が用いられることもある。多系統萎縮症を除けば、10~20年単位でゆるやかに 進行していくことが多い。

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