脳腫瘍(入院~手術前)の看護方法や観察(アセスメント)と看護目標を知ろう!

脳腫瘍患者の看護方法

脳腫瘍は、脳または頭蓋内の組織から発生する原発性脳腫瘍と、他臓器のがんが脳に転移して発生する転移性脳腫瘍の2つに大きく分けられる。さらに、脳実質内に発生する腫瘍(悪性腫瘍)と、頭蓋内ではあるが脳実質外に発生する腫瘍(良性腫瘍)に分けて考える必要がある。脳腫瘍による症状は、すべての種 瘍に共通したものではなく、発症部位ごとに違ってくる。治療法の第一選択は手術で、全摘出が望ましい。しかし、手術によって全治できるものもあれば、程度の差はあっても本質的に全治がむずかしい腫瘍もある。後者では、外科的治療に加えて、化学療法と放射線療法・免疫療法というた補助療法が必要となってくる。
生命の中枢である脳の病気と診断されただけで、患者はもちろんのこと、外族の精神的苦痛ははかりしれず大きいものとなる。患者だけでなく家族と極的にコミュニケーションをとり、精神的な背景を十分に理解して接していことが大切である。
手術療法を受ける患者に関しては、「手術(開頭手術)を受ける患者の看護」をふまえ、腫瘍の発生部位によって出現している神経症状を観察しアセスメントする。

【脳腫瘍による症状】
1.頭蓋内圧亢進症状:腫瘍による圧肺や脳浮腫で頭蓋内圧が上昇する
(自覚的)
・頭痛:キリキリする、または鈍痛早朝起床時に多い
・嘔吐:食事に無関係に、または消化器疾患の症状なく、吐き気を伴わずに噴出する(ピューと吐く)
・視力低下
2.局所神経症状:腫瘍による圧迫や組織破壊による
(他覚的)
・徐脈・うっ血乳頭・血圧上昇・脳脊髄液圧亢進
・小脳失調・外転神経麻痺・麻痺や感覚障害(一側または両側)
・けいれん発作・意識障害

脳腫瘍患者の入院から手術までの看護

患者の持つ神経症状を把握し、問題なく安全に入院生活が送れるようにを整える。また、患者・家族がかかえている身体的・精神的苦痛を少しでも苦痛が緩和できるように支援していく。

【脳腫瘍の分類】
 ・脳実質内腫瘍
神経膠腫、胚細胞腫、悪性リンパ腫、血管芽腫
髄芽腫、松果体細胞腫、中心性神経細胞腫
 ・脳実質外腫瘍
髄膜腫、下垂体腫瘍
神経鞘腫、頭蓋咽頭腫

注)脳実質内腫瘍は脳組織を構成する神経細胞・神経膠細胞などに発生する腫瘍で、主として悪性腫瘍である。脳実質外腫瘍は髄膜や下垂体などに発生するもので、主として良性腫瘍である。

脳腫瘍(入院~手術前)のアセスメント・観察項目

脳腫瘍の分類(上記の表)に基づき、腫瘍の増大に伴って頭蓋内で周囲の組織へどのように影響を及ぼしているのか、さらに今後それがどのように変化していくのか、予測される病態・症状もふまえてアセスメントする。

(1)神経症状
:腫瘍の発生部位、頭蓋内圧亢進症状・神経脱落症状の有無、意識状態、けいれん発作・眼症状の有無、歩行状態
(2)自覚症状
:頭痛・嘔吐、しびれ・麻痺などの感覚障害の範囲と程度
(3)バイタルサイン
:体温、脈拍の性状、血圧、呼吸の状態(深さ・回数・規則性)、動脈血酸素飽和度(Sop2)
(4)心理状態
:疾患の受け入れ、手術に対する理解と受けとめ方、食事摂取状況、睡眠状態、表情・言動・行動
(5)現病歴・既往歴
:現病の経過と内服歴(種類と期間)、心疾患・糖尿病・高血圧・アレルギー性疾患などの有無や、感染症の既往歴(梅毒、B・C型肝炎、HIV感染症など)、輸血歴の有無など
(6)検査結果
:頭部X線、頭部CT・MRI、脳血管撮影、脳波、心肺機能、血液検査(貧血、肝・腎機能、血糖)
(7)その他
:家族の理解と反応支援

脳腫瘍(入院~手術前)の看護目標

態勢収集した情報をもとに、患者が安全に入院生活が送れ、安心して手術にいどむことができるように援助する。
(1)苦痛が軽減し、異常が早期に発見される。
(2)不安を克服し、安心して手術にのぞむことができる。
(3)術後合併症を予防するための訓練の意義を理解し、実施できる。

脳腫瘍(入院~手術前)の看護活動・看護方法

他覚的・自覚的な症状を含む神経症状に対しては、安全に入院生活が送れるように支援する。

神経症状への援助

けいれんをおこしているが、あるいは手術後にけいれんをおこす可能性が高い場合は、脳浮腫の緩和を目的として副腎皮質ステロイドや浸透圧利尿薬による治療が開始される。この治療に伴って副作用として頻繁な排尿となり、夜間の睡眠障害・精神症状をおこすおそれがある。副作用の程度を観察し、ベッド周囲の環境を整える必要がある。また、酸素療法・薬物療法が行われる場合は、投与量・時間を確実にまもって実施する。

自覚症状に対する援助

頭痛・嘔吐は、腫瘍による慢性頭蓋内圧亢進を示す症状である(「頭蓋内圧亢進症状」の項参照)。頭蓋内圧亢進を予防するうえからも、頭蓋内の静脈還流の促進を目的として、通常、体位は30度程度の頭側挙上とする。またベッド周囲の環境を整えるとともに、静かに休めるように配慮する。頭痛に対して鎮痛薬が処方された場合は確実に内服させ、その効果を観察する。
嘔吐があったあとは、吐物をすみやかに処理して、患者の心身の負担、消耗を取り除くようにし、患者が手術に向かえるように援助する。

呼吸器合併症の予防

手術は全身麻酔下で行われるので、気管挿管抜去後は無気肺や肺炎などの呼吸器合併症をおこしやすくなっている。手術後のこれらの合併症を予防し、順調な回復過程がたどれるように、手術前から効果的な呼吸法や痰の喀出法を実地に即して指導し、練習させておく。

清潔への援助

手術の安全性を高めるために、皮膚(頭部、脂肪採取予定箇所)を清潔にするための準備が必要である。患者によるセルフケアに十分な期待が持てない場合は、部分剃髪や、洗髪、入浴、シャワー浴、清拭などの援助を行う。

精神的援助

患者・家族は、病気と手術に対する大きな不安や強い恐怖感をいだいている。医師によりインフォームドコンセントが行われるときには看護師も同席し、患 者・家族が十分に納得し、理解したうえで手術にのぞめるように支援する。また、疑問な点、不安なことがらなどについては、いつでも看護師は聞き、相談を受ける用意があることを伝え、良好なコミュニケーションがはかれるように努めることが重要である。

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